第26話モブの心境

俺は足立さんと別れた後も頭が追い付かずにいた。

解散したもののどうしても家に帰る気分に

なれず適当に外をぶらぶらしている。

正直今何処にいるのかもわからない

ふと目の前に公園が見えた

少し疲れたここで休もう

そう思って近くの自販機でブラックコーヒーを買い公園のベンチに座る。

時間が時間なだけにこの公園には俺一人しか

いない。

まるで世界で俺一人の様な静けさが心地よく

今だに混乱する頭を落ち着かせる為にはちょうど良かった。

暖かいコーヒーを一口飲み思う。

なんだよこれ

意味わかんねぇよ

知らない人間が現れてラブコメが始まり

頭がおかしくなったと思いや同じ境遇の奴を

見つけて、二人でなんとかしていこうと

手探りでやっていって幸いにも『桜井暖人』

に近付けて大きな一歩を踏んだと思えば

今度はいるはずの人間がいなくなった

上げて落とすとは良くいったものだ。

ふざけんなよ!!

なんだよ!!

次から次へと!!

俺は普通の高校生なんだよ!!

つい最近まで普通で平凡ながらも楽しくやってたんだよ!!

なんで俺なんだ!!

もっと他にいただろうが!!

どうして俺なんだよ


叫びそうになるのをなんとか押さえる。

もうどうでもいいや

どうせ俺がなにしたって変わらない

本当にただ頭がおかしくなっただけかもしれないし

それに推測が正しければこの世界は少女漫画なんだろう?

なら放って置いてもいいだろ

知らない人間が急に現れた?

いるはずの人間が消えた?

俺は漫画の主人公の様な奴じゃないんだよ

もう知るかよ


ふと上を見上げるとすっかり暗くなり空には

星が綺麗に写っていた。

星を見ていると何故か涙が出てきた

なんで涙が出てきたのかはわからない

もしかしたら限界だったのかもしれない

そう考えると足立さんは強いな

俺の心が折れている今も彼女は必死に解決への糸口を見つけようとしているのだろう

そう思ってしまったら自分がどんどん惨めに

思えてきた。

いや、これが普通なんだろう

ただのモブが物語に介入する事がそもそも

おかしいんだ。

頭がどんどん悪い方へと向かっていく。


心がすっかり折れた俺は冷めたコーヒーを

飲みながら足立さんになんて説明するかを

考えながら帰宅した。


その時のコーヒーは何時もより苦く感じた





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