第257話 かちかち山

 ども。

 新巻へもんです。


 民話の『かちかち山』の話はご存じでしょうか? 悪さをするタヌキを爺さんが捕まえたら、その留守中にタヌキが婆さんを騙して自由になり、婆さんを殺して逃げ、ウサギがそれを懲らしめるというのが大筋の話です。殺した婆さんを婆あ汁にして爺さんに食わせるというスプラッター展開もついてくるというなかなかに強烈さもあります。


 でも、最近はこの婆あ汁の下りは子供によろしくないということで改変されることが多いようです。さらには婆さんは重傷に留まるという展開も。でも、ウサギがタヌキに火をつけるという部分はそのまんまなんですよね。生きたまま火あぶりですよ。こっちの方が残酷なんじゃないか。しかも火傷跡に刺激物塗りつけるという鬼畜の所業まで。最後には溺死させますからね。


 私には撲殺は残酷だからダメだけど、火あぶりはOKという基準がよく分かりません。それにタヌキが悪逆非道じゃないとウサギの行動とのバランスがとれないと思うんですけどね。まあ、中にはウサギが説諭してタヌキが改心して終わりというのもあるようですけど。もう、それカチカチ山じゃなくていいんじゃねえか?


 まあ、爺さんが婆さんを食うというのが衝撃的というのは分からんでもないです。

ただ、まあ、自分の子供の肉を食べさせられたハルパゴス将軍という方もいらっしゃいます。ばーっかじゃねえの、の方ですね。三国志演義の劉備も猟師のもてなしでその奥さんの肉を食べてます。そこまで忌避する必要があるのでしょうか。まあ、子供向けか。それにしてもね。


 個人的には現代的な価値観で話の置き換えをするのはどうかという立場です。そもそも、かちかち山は復讐譚なわけで、中途半端なあく抜きをしてどうするんだという気持ちもあります。暴力や復讐を忌避する話を書きたいならオリジナルで書けばいいでしょう。こういうのって実写化における原作理解のない改変と同レベルと思うんですがね。


 さて、10月の同題異話ですが、「秋に鳴らす鍵盤」というタイトルでした。新巻にはそっち方面の素養はないので、音楽を直接題材にするのは厳しいです。秋の代表的なピアノ曲って言われてもよく分かんないし。ショパンあたりの伝記を調べるのもメンドクサイ。まず、鍵盤と聞いてピアノという発想が貧弱です。


 以下ネタバレ。


 なんか良さげな楽器はないかというので、アコーディオンが思い浮かびました。ネットで調べるとアコーディオンの調べを聞く兵士の写真があって、これから着想を得たのが公開した作品です。あとは戦史上で戦車が初登場したので有名なソンムの戦いが丁度秋にかかっていたのを思い出し、応召兵への思いを託したダニーボーイが時期的に一致したのでこれを配置して完成です。


 主題からは外れますが、ソンムの戦いの前年のガリポリの戦いもイギリス軍のミスで大損害が発生していて、第1次大戦時のイギリス軍陸軍はいいところなしというのが新巻の印象です。


 ではでは。


 

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