4 宣戦布告! 決闘せよ!米国大統領!
◆◆◆
「父上のみならず……母上までも……!!」
記憶の旅を終えた
己の父と母は……アメリカ大統領ピザフライの卑劣な罠によって殺害されたのだった!
「そう……あの後すぐにサクラを治療したが……。
アメリカの最新式猛毒ポイズン!
毒への耐性が強いサクラでも数日でお葬式。
残された子供達には……病死と言う他なかった……!」
ゴウショウが血涙!
滝のように流される血液が前に座る観客を赤く染める!
「神風アキラとサクラを救えなかったのは我が不覚!
すまぬ! トオル! ルリ!
寂しい思いをさせてしもうて!!」
「先生……」
記憶の投射を受けずとも――何があったのかを察するルリ。
「過去を悔いているヒマはないぞ、ゴウショウ!」
「……!」
ウメコが腰を上げ――直後に姿を消す。
数秒遅れてゴウショウも気づく。
これから起こるであろう――神風トオルの行動に!
「貴様のせいで父と母が……!
そして俺たち兄妹が……!」
目を閉じ拳を震わせる神風トオル。
父が黙って姿を消したのは――地球代表地球ファイターとなったがため。
そして母は――まさかのくノ一!
始めて聞かされる情報に頭の整理が追い付かない。
だが! これらが自分たちに秘密にされてきた理由は
全ては自分を――そして妹を心配させぬため!
そう! それは! 子を想う親の愛!
神風トオルが青い光に包まれる!
怒りによる悪魔的地球パワーの解放である!
「許さんぞピザフライ!!
絶対に!! 許さああああああああんんんんんん!!!」
絶叫と共にトオルがピザフライへとレイザービームのごとく突っ込む!
「バカめ……!」
ニヤリと笑みを浮かべ待ち受けるピザフライ!
護衛のCIAエージェントが発砲せんとするも間に合わない!
「地球ううううううううううう!! パアアアアアアアアアンンン――」
トオルの必殺技、地球パンチがピザフライに叩き込まれる――その瞬間!
「ん待てえええええええい!!!」
「ぶげえええええええええ!!??」
超高速で飛来した何者かによってトオルは地面に組み伏せられる!
顔面をこすり付けられグラウンドの土が口内に侵入!
「落ち着け神風トオル!」
「ぺっぺ! 貴様は……ヤエベニ!?
邪魔をするなああああああああああ!!!」
「――!!」
悪魔的に激しく抵抗するトオル!
背面スラスターを最大噴射しさらに抑え込むヤエベニ!
「愚か者が! 冷静さを欠いた者の末路、忘れたか!!」
「――ッ!!」
そう、奇しくも神風アキラ――その最期を再現するかのごとき暴走。
余裕を見せていたピザフライ、その傍らには――
「邪魔が入っちまったな」
処刑人ハリー・ガンウッド!
フトコロに入れていた手を戻す。
ヤエベニが割って入らなければ――
コート内に隠された悪魔的銃火器が火を噴き、トオルはひき肉ミンチと化していたであろう。
どれほどの達人であろうとも……心を乱せば倒すのは容易。
ピザフライがトオルにわざわざ過去を見せたのはこのためだ。
間もなくしてピザフライの周囲に護衛が何重もの壁をつくる。
もはやピザフライへの奇襲は不可能!
「くっ……すまない。犬死にをするところだった……」
「今はまだ待て! 必ずチャンスはある!!」
「……わかった」
冷静さを取り戻す――否、冷静であろうと努める神風トオル。
噛みしめた唇からは血がドバドバ流れる。
地球パワーの戦闘濃度が薄れたのを確認し拘束を解くヤエベニ。
「HAHAHAHAHA! 命拾いしたな神風トオル!
その女が邪魔をしなければ……あの世で両親と再会させてやったものを!!」
挑発するピザフライ!
悪魔的眼光で睨みつける神風トオル!
「……アメリカ大統領ピザフライ!
父と母の仇! この俺と一対一で戦え!!」
「パードゥン!? 何をバカなことを!
ミーはすでにファイターを引退した身!
戦う理由もメリットもないわ!!」
「理由がないのなら……つくってやる!!」
神風トオルが整列する決勝ファイターを見渡す。
そして――
「この地球ファイト決勝大会! 俺が必ず優勝する!!
その暁には! 地球大統領指名権を賭けて……俺と決闘しろ!!!」
「なにい!?」
ピザフライに向けられた悪魔的宣言!
観客がザワザワ!
整列する決勝ファイターもザワザワ!
「この俺が優勝するということは……貴様がその地位を失うということ!
そこにチャンスを与えてやるのだ。悪い条件ではあるまい」
「な、なめくさりやがって……!!」
観客100万人の前での挑発!
ピザフライの顔面が赤鬼のごとく赤化していく!
「プレジデント! 安い挑発に乗ってはなりませぬ!
ここは冷静に!」
プレジデント親衛隊の一人、バッファローヘッドがいさめる!
「んぐぐ! わかっておるわ!!
こんな若造の戯言に付き合うミーでは……」
「どうした!? やはり我が地球真拳が怖いか!!
卑怯な手を使わねば我が父を倒せなかった……所詮その程度の男!!
甲斐性なしのロクデナシ!! クズ!! ウスノロ!!!」
「野郎おおおおおおおおおおお!!
ぶっ殺してやる!!!」
頭の血管がブチ切れたピザフライが神風トオルに飛びかからんとする!
必死に抑え込むバッファローヘッドとパンプキンヘッド!
「「プレジデント! 開会式中でござる! 開会式中でござる!」」
「決闘でもなんでもおおおおおお!! 受けてやるわあああああああ!!!」
「「ぷ、プレジデント!?」」
親衛隊の忠告も虚しく、ピザフライが神風トオルに応える!
「その言葉……二言はあるまいな!
卑怯者の腰抜けが言うことは信用できんからな!!」
「やってやるわああああああああああああ!!
十回でも百回でもおおおおおおおおおおお!!
お前が優勝できたらなあああああああああ!!!」
『おお、なんということでしょう!
地球大統領指名権を賭け!
神風トオルがプレジデント・ピザフライに決闘を申し込み!
今まさに!! 受諾されました!!!』
観客がワーワー!
全世界に生中継されたる地球ファイト決勝大会!
神風トオルとプレジデント・ピザフライによる決闘の成立が――全人類に知らされる!
既成事実が見事につくりあげられた!
だが! その条件は悪魔的難易度!
「ずいぶんなめられたもんだぜ……!」
頭の血管をブチ切らしている爆弾ボディ、アトミック・ジョン。
本大会優勝候補と目されるアメリカ代表ファイターである彼が――
まるで眼中にないかのごとき振る舞いに怒り心頭。
体内の原子炉が臨界沸騰する!
他の決勝ファイターも同様である!
「ふざけやがって! 優勝できると思ってやがる!!」
「ずいぶんな自信アルね……!」
「身の程知らずが……地獄を見せてやる!!」
殺気立つ開会式会場!
悪魔的な殺人オーラが充満! 精神力の低い一般庶民観客が失禁嘔吐!
「ヤエベニ……もう大丈夫だ。無茶はしない」
「そうだといいが……奴らはどんな手を使ってくるかわからん。気を付けろよ」
「ああ、そのつもりだ。ヤエベニ、お前にはまた助けられたな。感謝するぞ」
「べ、別に! アンタを心配して止めに入ったんじゃないんだからねっ!
私の目的のためにも……今アンタに死なれちゃ困るだけなんだからっ! プイっ!」
神風トオルから顔を背け、いずこかへと飛び去る装甲くノ一!
パールピンクの装甲に覆われた顔が――ほんのり朱に染まっていたのは気のせいではあるまい。
そのヤエベニが消えて間もなく――
「あ! ウメコちゃん! どこに行ってたの!?」
「あらごめんなさい。ちょっとお花を摘みにね」
「お花!? 風流ね! 急にいなくなっちゃったから心配だったよ!!」
「あなたのお兄さん、すごい度胸ね。見ているこっちがハラハラしてしまうわ」
「ええ! でも兄上はお強い! きっと敵討ちを果たしてくれるわ!」
「ふふふ……そうね」
「すまぬウメコ」
「いいえ。私が動けないときは……頼むわ」
血涙が乾きデーモン的表情と化したゴウショウ。
スベスベの脚を高らかに上げ、おフランス的上品に組むウメコ!
(トオル……残念だけどあなたにピザフライは討たせないわ)
コロシアム中央――行儀よく地球ファイターの列に戻り、気を付け姿勢のトオルを見る。
(奴の首は……この私が取るのだから)
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