第二話 『敵は核弾頭!非道の米国正義!』
1 開会! 決勝地球ファイター入場!(前編)
前回までのあらすじ
フリーのフリーターである栃木県民、
彼が郵便屋さんから受け取ったのは地球ファイトの召集令状。
そして行方不明であった父、神風アキラからの書状であった。
父の生死を確かめるべく決勝会場へと向かう神風トオルと妹の美少女JKルリ。
道中にて他国地球ファイター、賞金稼ぎ、CIA、米軍の襲撃を受ける彼らであったが、地球真拳の技の数々でこれを撃退。
地球ファイト決勝大会会場、シン・巣鴨へ命からがら辿り着いたのである。
『では我らは仕事に戻る。君たちの健闘を祈る!』
「ああ、感謝するぞファイヤー・トチギゴオー!」
神風トオルとギョウザ
米軍戦闘機F-15の大部隊の襲撃に合うも無傷でこれを突破した業界最強の巨大ロボットである。
高速鉄道列車とパトカー、救急車、消防車からなる彼らは通常業務に戻らねばならないのだ。
「そこの二人! 早くこの列に並べ!」
決勝会場について間もなく、拡声器を持つ地球ファイト実行委員会職員に呼び出されるトオルとギョウザ男。
わけもわからず列に並ぶ。
「なんだこの列は? 配給でもあるのか?」
「バカを言うな! これから入場行進、そして開会式だ!」
「なんだと!?」
タイムリミットギリギリに到着した神風トオルとギョウザ男。
一息つく暇なんてないのである!
「ま、待ってくれ! 心の準備が……!」
「ええい! ならぬならぬ! 足踏み開始!!」
「おお、神よ……!」
しぶしぶながらも元気よく手と足を上げる神風トオル。
一般庶民諸君もご存知の通り、彼は恥ずかしがり屋さんなのだ!
パン! パン! パン!
パン! パン! パン!
パンパンパンパンパンパンパン!!
シン・巣鴨上空に三々七拍子のリズムで鳴り響く花火!
地球ファイト決勝大会の開会式が始まる!
『あッッ! あああああああッッ!
マイクテスト! マイクテスト!
本日は晴天なり! 晴天なれど波高し!』
マイクのテストが始まり、世界中から集まった観客100万人の興奮が高まる!
すでに興奮のしすぎを原因とする死傷者も出ている。
娯楽の少ない一般庶民にとって地球ファイトは刺激が強すぎるのだ!
『お待たせいたしました!
第13回地球ファイト決勝大会!
開会式の始まり的スタートであります!』
観客がワーワー!
司会兼実況者の声が響き歓声が沸く!
地球ファイト決勝大会の会場はシン・巣鴨コロシアム。
シン・巣鴨尋常小学校跡地に建築された最新のコロシアムである。
レトロな小学校感を残すため、中央フィールドは校庭のままだ。
ブランコや滑り台の遊具がアクセントとなり悪魔的なワビサビを感ぜずにはいられない。
メインゲートからまず鼓笛隊が入場。
編成は全国から集められたエリート小学生、一万と二千人である!
季節は5月初旬、草木が緑々とする田植え日和!
各国の偉い人も観戦するこの地球ファイト!
小学生の服装も非礼のないように正装!
男子児童は半そで短パン!
女子児童は半そでブルマ!
気品を感じさせる素晴らしい服装である!
演奏するのはもちろん入場行進の定番曲『軍艦行進曲』の無限リピートだ!
見よ! 隊列の中ほど! 鼓笛隊に挟まれた子供ミコシ隊の姿を!
ねじりハチマキに短パンハッピの美少年児童達がそのなまめかしい太ももをさらして演奏を盛り上げる!
「「ワッチョイ! ワッチョイ!」」
軽量チタン製のゴールド姫路城ミコシが上下に揺れる!
「「ワッチョイ! ワッチョイ!」」
姫路城の他にも様々なオミコシが続く!
金閣寺ミコシ! お仏壇ミコシ!
シャンパンタワー・ミコシ! ドラゴン・ミコシ!
ベルリンの壁ミコシ! 天安門ミコシ!
いずれも美少年児童たちが夜なべして完成させた作品である!
「「ワッチョイ!ワッチョイ!」」
上下するミコシとともに飛び跳ねる美少年児童の生汗!
その滴は超高額プライスレスだ!
美少年児童の生足と生汗に理性を破壊され、ゾンビのごとくフラフラと現れる変態的狂人!
武装警備員がその変態どもを警棒で叩いて鎮圧する!
タダで美少年児童には触れられないのである!
そして鼓笛隊の後に続き――いよいよ!
『地球のみなさん、改めましてエブリワン!
いよいよ始まりました! 第13回地球ファイト決勝大会!
地獄のサバイバル期間を生き残り!
見事決勝の地、シン・巣鴨に辿り着いた最強の戦士たち!
全決勝地球ファイター入場です!!!』
各々団体名が書かれたプラカードを持ちながら地球ファイター達が行進して現れる!
観客がワーワー!
「HAHAHAHAHA!」
会場に響くアメリカ語の高笑い!
『まずは前回優勝国、アメリカ代表アトミック・ジョン!
全身核弾頭の恐るべきファイター!
歯向かう国は全て灰にする!
優勝に最も近い男であります!』
観客がワーワー!
――アメリカ代表、アトミック・ジョン!
ラグビーボール型の爆弾ボディに手足の生えた姿!
デカめのサングラスをかけたハンサム顔である!
鋼鉄のシルバーボディが輝き、胸のハッチには原子力マーク!
その堂々たる歩みには優勝候補ファイターである自信がみなぎっている!
「「U・S・A! U・S・A!」」
アメリカ人観客に手を振るアトミック・ジョン!
U・S・A! の英雄! その人気は絶大中の絶大!
プレジデント・ピザフライのお墨付きファイターである!
「U・S・A! イズ! ナンバーワン!
優勝は今年もアッメーリカだぜ! HAHAHAHAHA!」
「「U・S・A!U・S・A!」」
「「U・S・A!U・S・A!」」
見よ! アメリカ人観客の一体感を!
U・S・A! コールは鳴りやまない!
アメリカ人と言えばU・S・A! コール!
暇があればU・S・A! コールなのだ!
『つづいての登場は中国代表、
中国拳法の達人! そしてなんと!
中国特級厨師を超える特級厨師、スーパー特級厨師の資格を持つ男でもあります!
彼の前では! 足がついていればテーブルも椅子も人肉も等しく食材なのです!』
観客がワーワー!
――中国代表、陳・肉まん!
その頭はホカホカの肉まん!
肉まんに目、鼻、口、そしてドジョウヒゲがついている!
額には『肉』の焼き印!
紫色のカンフー服を着た典型的な中国スタイルである!
「ホホホ! 優勝するのはこの私アル!
中国四千万年の歴史! とくと味わわせてやるネ!」
『つづいては……おお、あの赤い姿は!
糖度一万と二千パーセント! 固くて甘い!
津軽の海は俺の海!
皆様ご存知! 青森県代表りんごマン!
本大会唯一の果物地球ファイターだァーッ!』
観客がワーワー!
――青森県代表、りんごマン!
その姿は巨大なリンゴ!
リンゴにニュニューっと手足が生えた姿!
目、鼻、口などの器官は見当たらない!
まさに動くリンゴである!
「
なんたる流暢な青森言語!
おフランスと日本の東北地方の高等ハイブリット言語である!
『ご覧ください! この美しき行進姿!
さすがは現役軍人! 鍛え方が違います!
ドイツの科学力はドイツ一!
世界征服にふさわしいのは我が国だ!
ドイツ帝国軍人の若きエリート将校!
ドイツ帝国代表! バウム・クーヘンツェン!』
観客がワーワー!
――ドイツ帝国代表、バウム・クーヘンツェン!
その姿は……なんと頭がバウムクーヘン!
バウムクーヘンの側面に目、鼻、口がついている!
イカした黒の将校服を身にまとい、肩にはトゲトゲ!
腰には対戦車無反動グレネード、パンツァー・ファウストを装備!
まさしく一般的なドイツ帝国軍人の姿である!
「この私が決勝に進出したからには……我がドイツ帝国!
今度こそ地球の覇者となってみせるわ!」
クーヘンツェンがフトコロからフランクフルトソーセージを取り出し、食べる!
そして右腕をピンと斜めに上げ!
「ハイル! ソーセージが体内に!」
『つづいての登場は……その一切が謎! 詳細不明!
あ・れ・は! 何なんじゃ!
ブラックホールに消えたファイティング忍者!
忍者代表! シャドウ・ウゲンタ!』
観客がワーワー!
――忍者代表、シャドウ・ウゲンタ!
その姿は……全身漆黒の忍者装束!
顔は鋼鉄製の額当てとマスクで覆われその表情を窺うことはできない!
唯一覗く両眼は殺人的な光を揺らす!
肩、前腕、
忍者刀を背負い、首には忍者マフラーがたなびく!
まさしく一般的な忍者の姿である!
「フッフッフ! 威勢のいい奴らよ!
我が殺人忍法! 己が死んだことも悟らせぬわ!」
『おお、なんという可憐な姿でありましょう!
科学技術など時代遅れ! 時代は魔法!
ゆずれない願いを抱きしめて!
異世界からのうら若き挑戦者!
魔女っ娘王国代表、プルプル・プルリン!
デカパイ指数は115! 控えめな数値でありますが!
将来が期待できるプロポーションであります!』
観客がワーワー!
――魔女っ娘王国代表、プルプル・プルリン!
その姿は……ピンク髪ショートカットのサイドポニー!
ビキニ水着的な高露出度衣装!
控えめとはいえオッパイの形は丸わかり!
魔女っ娘という肩書がなければ痴女として逮捕案件である!
「なんて強そうな人たち……!
でも! 父のため! 王国のため!
そして何より! 私自身のために!
この戦い、負けられないわ!」
その目は決意にみなぎる!
異世界からの参戦! 彼女の使命とは!
(姫様……どうかご無理をなさらぬよう……!)
観客席からプルプルを見守る騎士のごとき男の姿!
鋭い眼光でプルプルの周囲を注意深く警戒!
護衛隊長の
(試合中はお助けできませぬが! この光太郎!
姫様の御身! 命に代えてもお守りいたしまする!)
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