第97話 閉じられた記憶
武器を使った戦いで先に動きだしたのは、当然ながら戦闘歴のある俺の方だ。槍の穂先を逆にして構えながら姿勢を低くし、夜間の身体能力を駆使して急接近する。穂先は決して使わないように、そしてなるべく腕や足を狙って戦意を削ぐ形で戦わなければならない。
初撃、下段から素早くかち上げられた槍を藤堂はぎこちなく手で持った西洋剣で防いだ。
「ッ………!!」
そこで俺はぶつかった時の衝撃に微かに目を開くことになった。堅い。相手は素手ならともかく、白兵戦は素人のはずだ。だというのに、叩いたはずの槍が思っていたよりも動かない。それどころか、押し返す力が強くなってきていた。
これはまずい。想定外の事態に少し取り乱したが、すぐさま二撃目に移る。槍を引いて今度は真っ直ぐに剣を持つ腕狙いで突く。
「うっ……」
向かってくる攻撃に耐性がない藤堂は、恐怖に呻くも剣の腹でいなし、そのまま斬りかかってきた。それをバックステップで回避し、また槍を構える。
「……怖いんだったらやめておけよ」
むしろここでやめてくれ、と心の中で願う。藤堂には斬る覚悟がまだない。剣筋がブレブレで、腰もまだ引けている。だから降参するのならばここでして欲しかった。
それに……ここが藤堂の世界であるのは確定的だ。不良を即座に倒す手際の良さ、怪我なく生還する肉弾戦の強さ。そして一般人ならばありえない程の力。
自分の夜間と同じように、この世界で身体能力が向上するという性質があるのだろう。常人では捌けない突きを初見でいなした段階で、その程度の予想はついた。
そして当然……相手が殺す気になれば、負けるのは殺すことのできない自分であることも。
「……手加減、か。うん、そうだろうね。俺は初めてだ。こうやって戦うのも、人を斬ることも」
でも、と藤堂は続けた。そして左手を振るうと、現れたのは二本目の硝子のような西洋剣。ここに来て相手が二刀流という、初心者には絶対にオススメ出来ない戦闘スタイルを選んだことに更に驚いた。
「でも、やめられない。俺はヒーローにならなきゃいけない。絶対に……ッ!!」
その目に覚悟が宿ったのが嫌でも察っせてしまう。相手の前のめりになる姿勢、握られた両手。本気になったらしい。流石にため息をつかずにはいられなかった。
「……やだねぇ、ホント。お前みたいな主人公キャラってどうしてこう……簡単に割り切れるんだろうな」
「そんなこと……知るかッ!!」
苦々しい顔をする俺に構わず、今度は藤堂が駆け出してきた。右手の剣を叩きつけるように振り下ろしてくる。それを槍で弾くと今度は左の剣が。それも槍を真横にする事で防ぐ。そして空いている腹に向かって蹴りを入れようと、右足を前に突き出すが……。
「くっ……」
それを藤堂は紙一重で回避する。その足腰にはブレがない。本来急な身体能力向上には前もって身体を鍛えていないと、感覚にズレが生じる。それを感じさせない身のこなし……彼は普段から訓練をしているのだろう。そして益々、俺は自分の不利を悟った。
「オラッ!!」
また斬りかかってくる藤堂。右手の剣を横薙ぎに振り払うのを槍を縦にして防ぐも、今度は左手の剣が身体を貫かんと近づいてくる。
「んの、野郎ッ!!」
そんな手にやられてたまるものか。肩を使って槍を支え、身体をねじって剣を避ける。そして左手を槍から離すと、近づいてくる手首を掴んで無理やりたぐりよせ、藤堂の腹に向かって膝蹴りを叩き込んだ。
「なっ……ぐッ!?」
苦悶の声を漏らしながら右手で腹を抑えて数歩下がる。それを逃す訳もなく、更に追撃。左腕に向かって突きを入れ、剣で防がれたらそのまま槍を地面に突き立て、姿勢を低くし足払い。転倒した藤堂の剣を踏みつけて動かなくさせると同時に槍を喉元に突きつけた。
「クソッ!!」
だが藤堂は剣を手放すことでその場から離脱。軽やかな身のこなしで転がって離れ、その場で後方に飛び上がって地面に立つ。腕を踏みつけなかった甘さゆえに、相手に距離を取られてしまった。
難しいものだ、と俺は内心愚痴をこぼした。この場合どちらかというと俺の方が防衛戦になる。防衛するためには攻撃側の三倍は強くなくては成り立たないという話を思い出すと同時に、どう考えたって相手との戦力差が絶対に三倍はないと思った。
「ッ……俺は……俺は、負けられないんだよ!!」
両足で地面を踏み締め、まるで親の仇のような目で睨みつけてくる藤堂。これはもう、気絶でもさせなきゃ止まらないだろう。
足で踏みつけていた剣が、ガラスの割れるような音を立てて砕け散る。その瞬間に頭の中にまた声が響いてきた。
『コーウーくーん! あそぼうよー!』
幼い女の子の映像と共に聞こえてくる声。相変わらずそれは一瞬な上に、見えるものは所々が白く塗りつぶされている。これは、一体何なのだろうか。
「うらァッ!!」
「うおッ!?」
流れてきた映像に気を取られていると、藤堂は両手に剣を出現させてから投げ飛ばしてきた。クルクルと回る剣を弾くのは中々難しい。これが真っ直ぐに貫くようにならともかく、回転しているとなると、その逆回転の方向に武器をぶつけなくてはならない。しかも押し勝つ威力でだ。
そうしなければ、下手すると俺の方に武器が飛んでくる。にしても……完全に藤堂が吹っ切れたみたいだ。容赦がない。
投げられた剣をなんとか《飛ばす》と、今度は何本も投げつけられてきた。手に出現させては投げるを繰り返し、俺はそれを的確に槍を素早く当てて《飛ばし》ていく。こういう時、力の必要ないヨグ=ソトースの拳が便利だ。軽い力でも、当てれば剣が飛んでいくのだから。
そうして剣が飛んでいって砕け散ると、また頭の中に変な映像と音声が流れてくる。勘弁して欲しい。集中が削がれる。
「なら……これで、どうだ!!」
藤堂が叫ぶと……不思議なことに、彼の周りに幾本もの剣が出現して、糸で吊るされるわけでもなく浮かび上がった。主である藤堂を守るように、不規則な並びで剣が存在している。
「……マジか」
何の力も働いていないように見えるその剣達は、切っ先を俺に向けて浮遊している。その様はどこかで見たことのあるような……そう、例えるならば金ピカの……。
「これでも、くらえッ!!」
「いやいや、ウッソだろお前ッ!?」
浮くだけだった剣が俺目がけて次々と放たれる。こんなの無理ッ、弾けきれる気がしないッ。即座にその場から退避し、全力で走り回る。すぐ後ろに剣が突き刺さったり、真横を通り抜けていったりする剣があり、肝が冷えた。
危ないと思ったものは槍で弾き、間に合わなければ身をよじる。時折服だけを斬り裂いていくものもあり、このままでは負けるのは明白だった。なんとかして身を隠さなくてはならない。そう思った俺はステージに向かって走っていくと……。
「よっとッ……!!」
ステージの壁に突き刺さった剣を踏み台にして高く跳び、空中で壁を無理やり蹴り飛ばしてなんとかステージの屋根にまで登りつめる。円状になっているステージの屋根には段差があった。そこに屈んで身を隠す。
見た感じ、あの剣は真っ直ぐにしか撃てないようだ。追尾機能はなし。そんなもんがあったら、もうお手上げ侍だ。
とりあえず、落ち着こう。奥の手はなるべく温存したいし……さっきから剣が割れる度に頭に変なもんが流れ込んでくる。集中が乱れ過ぎて、途中何度か魔術が行使できずに焦った。厄介過ぎる。
「……隠れても無駄だよ」
「ッ………!?」
嘘だろ。頭上から声が聞こえてきた。見上げてみればそこには……剣の上に乗った藤堂がいる。まさか、剣に乗ったまま空を飛んだっていうのか。万能すぎるぞお前。
「凄いな、これは。一本だけなら自由に動かせる。空を飛ぶのも攻撃するのも、自由自在だ」
「……一本だけか。そりゃよかった」
どうやら自由に動かせるのは一本だけ。つまり空中浮遊した状態で動き回りながら剣を飛ばすなんて荒業はできないってことだ。
何をされてもいいように槍を構えていると、藤堂は剣を消してステージ屋根に降りてきた。その顔は、新しい玩具を貰った子供のようだ。そりゃそうだろうなぁ。自分に新しい力が目覚めたら、嬉しさが滲み出るものだろう。
「どうする? 降参するなら今だよ、探偵さん」
「ハッ……いや、こりゃ参ったね……」
ここで降参だと両手をあげるのはとても簡単だ。この場で彼を倒すことに比べたら、天と地ほどの差がある。
けど……諦めたら絶対に後悔する。負ければもう二度目がないことは明白だ。だから、俺はニヒルに笑いながら藤堂に言ってやった。
「……探偵が負けたら、話がそこで終わっちまうだろ。まだ、トリックを暴いてすらいないんだぜ?」
「……口が減らない人だな」
「そりゃどうも。舌戦は俺の持ち味でね」
「あっ、そう。じゃあ……」
藤堂が右手をあげると、空中に剣が出現する。そのまま腕を引くと、剣の切っ先は俺に向く。何秒も経っていないんだろう。けれど、俺にはその状態が長く続いていた気がした。浮かび上がる剣が、全て俺に向いている。精々視界の中に収まるだけの数ではあるが、それを捌くのは困難だ。
「……口をきけなくしてやるよ」
「ッ………!!」
藤堂の腕が俺に向かって振るわれる。それと同時に剣が次々と射出され、俺を貫こうとしてきた。もはやどれが最初に飛んできたのかわからない。マトモに相手にしてはいられなかった。その場から後ろに向かって全力で走り出し、飛んできた剣を一本だけなんとか掴むと、そのまま屋根から飛び降りた。
無論、高さ的に飛び降りたら着地の時に膝をやるだろう。だから着地する直前で、奪い取った剣を地面に叩きつける。剣は砕けたが、その分落下の衝撃は減った。受身を取って、直ぐにその場から離れる。降りてきた場所には、既に何本もの剣が突き刺さっていた。
「……諦めの悪い人だな。俺を本当に人殺しにさせる気?」
追撃をやめて、剣に乗って地面に降りてきた藤堂は、さっさと諦めろと言ってくる。それでも俺は首を縦に振る気はない。依頼を達成する為にも、お前自身を助ける為にも……負けるわけにはいかなかった。
「……まだ、俺はやれるぜ。意外としぶといよ、俺は」
「身に染みてるよ。でも、今度こそ終わりだッ!!」
剣を両手に構え、正面きって斬りかかってくるのかと思えば、藤堂の背後からは剣が射出され始めた。剣戟と射撃の二段構え。これは……。
「ッゥ……」
全部は、弾けない。接近されて逃げることもできない。藤堂の剣を《飛ばし》ても、飛んできた剣が皮膚を浅く裂いていく。ヒリヒリとした痛みと共に、傷跡が熱くなってくる。
そして頭の中に流れ込んでくる映像。それが何よりも邪魔をしてくる。集中できない。鬱陶しくて、目の前の景色が移ろって、剣がどこにあるのかわからない。
「ッ、くらえ!!」
藤堂の声が聞こえる。女の子の声が聞こえる。剣が割れる音が聞こえる。目の前の景色が変わっていく。夜の街、学校、部屋、広場……。
……俺は今、どこにいる。
「……ァ、あァ……」
プツンッと、電池の切れた玩具のように俺は動けなくなった。立っている力もなく、そのまま地面に向かって倒れていくのがわかる。
腹を打って息もできず、強く打ち付けた鼻と額が痛い。そして、何よりも……足が、動かない。
「……足、もう動かないみたいだな」
これでもう終わりだと、俺の上から聞こえてくる。首を上げることもできない俺には、それに言い返すことはできなかった。足……切れてはいないんだろう。でも、動かない。
それに……なんだか、視界の隅の方がボヤけて、段々と黒くなってきた。
「─────」
……情け、ない。こんなところで……俺、は……。
………。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
───誰かの声が聞こえる。俺は今、どこにいる?
『ねぇコウ君、聞いてるの?』
……そこは、マックの角にあるスペースだった。店内では音楽が流れ、食欲をそそる匂いが漂ってくる。目の前にはポテトをつまんでいる女の子がいた。確か、この女の子は……。
『昨日の文化祭、どうだった?』
確か……あの冴えない男の子と一緒にいた、明日香って女の子だ。いや待て。じゃあ、俺は……?
視線を動かすと、身体が見えた。でもそれは自分のものではない気がする。慌てて座った状態から立ち上がると、座ってた場所には……藤堂がいた。
『ルーム長も割とやる気でさー』
女の子の話を、何気ない顔で聞いている藤堂。その顔はどこか嬉しそうだ。まるで、話すことが当然のようで、それを誇らしそうに思っているみたいだった。
……明日香という女の子は他の男と付き合っていたはず。つまりこれは過去の出来事なのだろう。
俺は確か……藤堂との戦いに負けて、倒れたはず。そういえば、明日香って子の声が戦闘中に何度も聞こえた。そして今は、まるで藤堂の過去を見ているようだ。
「……まさか」
藤堂の持っていた超能力。剣を出現させて、それが割れると俺に過去が一瞬見えた。そして外界と遮断された時も、何かが聞こえた。それはつまり……。
「記憶を、力として使用しているのか……?」
……だとすれば、納得がいく。記憶がすり減ってしまうのも、力を使っているからだろう。身体能力向上にも記憶が使われるのなら、普段の活動でも記憶の摩耗が起きる。
そして更に、今使っている剣の具現化と、その剣の破壊。それがより一層記憶の摩耗を早めているのではないか。
「……意識を失ったせいで、アイツの記憶が流れ込んできてるのか」
……だが、それがわかったとしてどうする。今の俺に、ここで何ができるというのか。そんなことを考えていると、突然女の子の方が少し身体を強ばらせた。
『えっとね……コウ君になら、話してもいいかなって思って……』
女の子が照れくさそうにしながらそう言った。藤堂は何を考えているのかわからないが……。
『……あ、あのね……私……』
……これは。
『……好きな人が、できたの』
……藤堂の顔が、一瞬で真顔に変わった。けれどすぐに、表情を元に戻す。あぁ、でもこれで……わかってしまった。藤堂はこの女の子のことが好きで、だというのに本人から恋愛相談のようなものを受けてしまったのか。
『僕はいつだって隣にいた。君が望んだことをし続けた。誕生日をお互いに祝いあったし、夜中に二人で遊びに行ったこともあった。僕はいつだって……』
今まで一言も話さなかった藤堂が口を開いた。その言葉は、女の子には聞こえていない。彼の口から漏れる言葉は、今にも泣きそうだった。震える声を絞り出している彼の姿は……正直、見るに耐えなかった。
『君の─────』
……藤堂は何か言っていたようだ。しかしそれが聞こえる前に、俺はまた別の場所にいた。夕暮れ時の、公園だろうか。風が吹いて、錆びたブランコがキコキコと嫌な音を立てる。ざっと周りを見回してみると……公園の隅で、五人の子供が集まっていた。
三人の男の子が、座り込んで泣いている男の子を見下ろしている。その間に割って入っている女の子も見えた。幼い顔立ちではあるが……どことなく、さっきまでいた明日香という子に似ている気がする。
『弱虫のくせに、また明日香に守られてんのかよ』
『うるさい! アンタたちはさっさとどこかに行きなさいよ!!』
『いってッ!?』
真ん中の男の子が、女の子に頬を叩かれた。中々に痛そうな音が聞こえたので見てみたら……叩かれた男の子は泣き目になっている。
『フンッ、アンタも泣いてるじゃない! 泣いてるくせに、コウ君のことを弱虫だなんて言うな!』
『うっ……う、うっさい! バーカ!』
真ん中の男の子が走って逃げていくと、両隣りの男の子も走って逃げていく。随分と強い女の子だ。それに比べて、座り込んで泣いている男の子……恐らく、これは藤堂だろう。彼はずっと泣きじゃくっていた。
『もう、いつまで泣いてるの!』
『だ、だってぇ……』
『そんなんだから、いつも下に見られちゃうんだよ! もっとシャキッとするの!』
『む、ムリだよ……』
……今の彼と比べたら、比べ物にならない。泣き止まない彼の隣に座り込んで、女の子は頭を撫で始めた。そうしているうちに、藤堂は泣き止み、二人は並んだまま話し始める。
『あ、明日香はなんでいつも僕のこと、助けてくれるの?』
『……コウ君が頼りないから。守ってあげなくちゃって』
『うっ……』
『あぁもう、また泣くの!?』
女の子が乱暴に手で彼の涙を拭っていく。なんだか、微笑ましいものを見ている気がする。彼の過去に、こんなことがあったのか……。
……二人は幼馴染なんだろうか。俺と菜沙のような、深い繋がりがある関係なのかな。俺には全てはわからないけど……。
でも……藤堂が、彼女のことを大切に思っていることはわかった。そして彼女も藤堂のことを大切に思っているのだろう。彼女は少し浮かない顔で、藤堂に言った。
『……私だって、いつまでも守っていられないよ?』
『えっ……』
『だって私……女の子だもん。私だって、守られたいなって思うよ』
『う、ぅ……』
下を向いて唸り始めた藤堂は、そのまま動かなくなってしまった。ため息をついた女の子はその場から立ち上がると、数歩彼から離れて立ち止まる。
『まぁ、コウ君には無理かなー』
『っ………』
……藤堂が立ち上がる。涙の跡が残るその顔は、先程まで泣いていた男の子の顔ではなく、覚悟を決めたひとりの男の顔だった。彼は背を向けている女の子に向かって告げる。
『ま、守るよ! 僕が、きっといつか……守れるように、なるから!』
とても大きな声で彼は言った。ご近所さんにも聞こえるような大声で。その決意を込めた言葉に、彼女は微かに笑いながら振り向いて、彼に言った。
『ふふっ、なれるの?』
『うっ……な、なる。絶対に、なるから!』
『……そっかぁ。じゃあ、約束!』
小指を差し出した女の子。そしてそれを理解し、また同じく小指を出した藤堂。二人の小指が、固く結ばれる。そして女の子はとびっきりの笑顔で藤堂に言った。
『
『っ……うんっ!』
幼いふたりの交わした大切な約束。子供の頃交わした約束を……幼い藤堂は、頬を染めて強く頷いていた。
「っ………!!」
場面が次々と変わっていく。
『はぁ、はぁ、はぁ……っく……』
夜、誰もいないような場所で走り続ける彼がいた。
『っ、ふぅ……ふぅ……』
家の中で、汗を垂らしながら必死に腕立てをする彼がいた。
どれだけそれがキツくても、彼は止めなかった。例え風邪をひいても、彼は止めなかった。それが旅行中でも、彼は止めなかった。
ただひとつの……守るべき約束のために。
「……あぁ、なんだ……お前、こんな大切なこと忘れちまったっていうのかよ」
汗と涙を垂らして、お前が守ろうとしていたものは……。
『僕は君のヒーローになるんだ』
……そんな、約束だったんだ。
To be continued……
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