肉食系
ベッドで目を覚ますと、背中に体温を感じる。
「
軽く揺する。が、返事はない。代わりに規則正しい寝息が聞こえてくる。
どうやら、私に抱きついたまま眠ってしまったらしい。ふと、違和感を覚えて身体に目を落とすと……。
「うわ」
わりとがっしりと胸を掴まれていた。嫌な気はしないが、やはり恥ずかしいものはある。
「ちょ…ちょっと紗月。起きてよ……」
さっきより激しく身体を揺すってみる。逆効果だった。より深く、胸に指が食い込んでくる。
「……」
こうなると、こっちも
「……ねぇ、紗月」
いい加減にして……言いながら振り返った瞬間、薄目を開けた彼女と目が合った。
「…………」
「……ふふ、おはよ、
「さ〜つ〜き〜……」
「どうせ休みだし、いいじゃん、ねぇ?」
「よかないよ、映画行こうと思ってたんだか……んっ……」
「ほらもう……スイッチ入っちゃってる」
「それは…紗月がっ……んんっ」
身体をなぞられるだけで変な声が出る。抵抗も無駄だ。紗月のほうが身体が大きく、力も強い。
耳を食まれて、またしても身体を震わせる羽目になる。紗月の顔は整っていて、紺碧に近い髪色とよく合っているが、それ以上に目つきが捕食者のそれだ。私と睨み合えば数秒で私が闘志をなくすほど、鋭く、激しく、強い。
その眼で私を見下ろして、紗月が口角を上げる。まるで最初から……それこそ寝る前からこれを見越していたかのように。
「んむ……くうっ」
「……ふはっ」
しっかりと頭を掴んで……痛いくらい強く支えてディープキス。離れた唇から、涎の玉橋がかかり、落ちる。
「かわいい、露李。さすがわたしが惚れただけあるね」
惚れた弱みだかなんだかいうのは、この女には通用しない。といって、おそらく原因は毎回なすがままの私にある。
つまり私は紗月に甘いのである。身体は大きく愛情表現はダイレクトで……それでいて小悪魔のような蠱惑的微笑を浮かべることもあって。
「露李。もっと、
囁くような紗月の声が、耳朶に響いて脳を侵す。こうなるともう、私に冷静な判断など期待できない。
「……もう、あんたは本当に」
「……どうするの? 最後まで?」
陽は既に高い……そんな時間からなんて。でも、もう後に引けるフェーズは終わった。
「……おねがい、します」
「よしよし、いい子だ」
私は弱いところをやられて、喘ぎを漏らした。
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