◆119◆ジョブの確認の仕方
「あ!」
イラーノは、何かを思い出したように本を開く。
「ほらこれ、クテュールってこれじゃない? モンスターを使役するだけじゃなく、モンスターと心を通わせる事が出来る者って……」
イラーノが、文字を指差した。
覗いて見ればそれは、テイマーのページだ。
「ちょっと見せて!」
「あ、うん」
テイマーをメインジョブにする条件。
眷属がいる事。
備考。
テイマーは、眷属がいないとわからないジョブ。
モンスターを使役するだけじゃなく、モンスターと心を通わせる事が出来る者がいると言われ、その者をチュトラリーと呼ぶ。
チュトラリーは、モンスターを回復する魔法を使えるとも言われ、モンスターを統率し崇拝される者として言い伝えが残っている地域もある。
そっか。ロドリゴさん達がチュトラリーの事を知っていたのは、この本を読んだからか。
「ねえ、この本って何?」
「それたぶん、持ち出し禁止のギルド運営者に渡される物じゃないかな?」
表紙を見ると、ギルド運営の手引きと書いてある。
「持ち出し禁止って……これ、僕達持っていても大丈夫なの?」
「あるか見せろと言われる様な物でもなさそうだし、他人に見せなきゃばれないんじゃないかな? 俺達に、一年後ちゃんとこれを持って戻って来いと言うダイドさんのメッセージだと思う……」
まあ、そのまま戻って来ない可能性あるからかな?
母さんもいるし、ちゃんと戻るつもりはあるけど……。
イラーノは、本当の父親を見つければ戻らない可能性もあるか。
僕は、違うページも見てみる。
剣士をジョブにする条件。
特になし。
って、ないの?
備考欄に、剣が扱えない者には、ナイフを装備させる事って書いてあった。本当に誰でもなれるんだ……。
そうだ。ヒーラーは?
五分以内に、傷を癒せる事。
治せればいいって訳じゃないんだ。
「ねえ、イラーノってジョブの試験って受けたの?」
「うん。受けたよ。ちょっと可哀想だけど、動物を実験台にしてね。俺は、ヒールのレベルは高いみたい」
「凄いね」
僕は、眷属がいたから……そういう儀式だと知らなかったけど助かった。
まさか条件が眷属がいる事だなんて。まあ、それしか確かめる方法もないような気もするけど。
そうだ! 鑑定師はどうなんだろう?
条件は、三種類の鑑定をして全て鑑定出来た者。
うん? 鑑定のスキルがある者じゃないんだ。
備考に、シークレットスキルとして持つ者もいる。と書いてあった。
「シークレットスキル?」
「あ、それ? 俺も気になったから探して見てみたら鑑定でも見る事が出来ないスキルとか魔法みたい。だからジョブは鑑定して確認じゃなくて、出来るかどうかで、ジョブを決めるみたいだね。ただ俺みたいに、魔力が高いってわかっても何の魔法が使えるわからない場合は、鑑定して調べるみたいだけど」
そっか。そう言えば、普通は鑑定しないって言っていたっけ?
「でも鑑定した方が、確実の様な……」
「鑑定って鑑定するモノによって、魔力の消費が激しいんだって。特にレベルが高い鑑定スキルだと、生き物を鑑定すると詳しく鑑定しすぎてガッツリ魔力が減るらしいよ。お父さんが言っていた」
それって優秀な鑑定師ほど、人の鑑定出来ないって事じゃ……。逆に使えないって……何それ。
「大きな街に行けば、鑑定料払えば鑑定はしてもらえるみたい。でも結局、魔法とか使えないと他のスキルがあっても、冒険者にはあまり役に立たないから鑑定する人は少ないってっさ。魔法が使えるかどうかって、大抵の人は冒険者になる前にわかるしね」
「言われればそうだね。ムダマンスの様な例は珍しいのかも。でも自分で気づいたんだよね? 鑑定出来る人も魔法と一緒で気がつけるものなのか?」
「鑑定ってただ見ようとして出来るんじゃないみたい。使えないからわからないけど。見ただけで鑑定出来ちゃったら逆に大変かもね。鑑定したくないのに魔力減りまくりみたいな?」
「あ、なるほど」
じゃ、もしかしたら僕にも……ないな。僕自体鑑定されているんだった。シークレットスキルじゃないと鑑定は持ってないって事だよね。
そうだ。これに、薬剤師の条件も載ってるかな?
パラパラめくるとあった。
薬草ソムリエ取得者で、調合試験に合格した者って書いてある。薬草ソムリエって何?
探すとページがあった。これもジョブらしい。
薬草の特徴、採取の仕方、取り扱い方などの知識と技術があると認められた者が獲得できるジョブ。
このジョブは、商人ギルドでも認められるスキルとして取り扱われる。
取りあえず、このジョブを取得しないと無理みたいだ。
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