◆107◆ロドリゴのお願い
「クテュール……お願いがある」
顔を上げイラーノさんを見つめながらロドリゴさんは、呟くように僕に話しかけて来た。
「な、何ですか?」
「イラーノを連れて、この国を出てくれ」
「「え!」」
僕とイラーノさんの声が重なる。
「俺は出て行かないよ!」
「何故? イラーノさんまで……」
僕はわかる。こんな事になってるし、噂にはなるだろう。せめて、街は出ないとダメだとは思うけど。
「私は、ギルドマスターではいられない。それだけじゃない。彼を殺そうとした。自己防衛の為でなく私怨で殺そうとした。イラーノ事は隠していたが、直ぐに知れるだろう」
「嫌だ!」
ブンブンとイラーノさんは首を横に振る。
『
「あ、うん。ありがとう! そうだ。後でそっち行くね」
『
キュイは、大きく羽ばたいて上空へと舞って行く。
それを皆、見上げた。
「ロドリゴ、大丈夫か?」
「あぁ。君にも迷惑をかけるな」
「何言ってるんだ。私怨だったとしても殺さないと殺されていた! ……まだ、二人共死んでないけどな。俺もナットスもちゃんと証言する!」
「はい。まさかミーレンが首謀者だったなんて。クテュールの父親の事は今聞いた話しかわかりませんが、襲われたのは事実です。クテュールだって出て行かなくても……」
「いや、今回の事が信じてもらえようとなかろうと、クテュールは一旦国から、せめてこの街からかなり離れた方がいいだろう。テイマーが起こした事件だ。絶対に目を付けられる。私がギルドマスターでいられなくなれば、庇いきれない」
そっか。僕は危険人物として捕らえられるかもしれない。これから起こすかもしれないと危惧されて……。
「わかりました。僕は街を出ます。でもイラーノさんを連れて行くのはどうかと。僕といる事で逆に印象悪くなりませんか?」
「いいよ。一緒に行っても……」
さっきまで嫌だと言っていたイラーノさんが、突然翻した!
「俺の本当の親を教えてくれるならね」
驚いていると、さらに驚く事を言う。
「……うん? どういう事?」
ダイドさんが、驚いて聞いた。知らなかったとか? ダイドさんにも内緒だったの? あ、親子だったって事は知っていたのかな?
「わかった。それは戻ったら話そう」
こうして一応は、方が付いた。
街に戻り、血ランは届けてお金に変換。ローンの支払いを済ませた。思っていた通り、冒険者レベルは2に上がった。
そして、皆に知られる前にこの街を出て行く事にする。でもその前に、僕にも聞いてほしいと言われロドリゴさんの話を聞くために、ロドリゴさんの部屋に向かった。
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