◇100◇驚きの親子

 ムダマンスは、無表情のまま剣の刃に何かの液体を掛けた。何をしているかわからないけど、ロドリゴさんは身構える。

 そして、徐にその剣をロドリゴさんに向け横に振った。剣についた液体は振り払われ、ロドリゴさんに降りかかる!

 痛そうな素振りはないから攻撃ではないの?


 「それは、皮膚から吸収する痺れ薬だ。私が剣士の相手をまともにすると思ったか?」


 「っく。卑怯な……」


 それって弱った所を斬るって事!?

 ムダマンスは、ロドリゴさんに攻撃をしかける!

 驚く事にエジンよりずっとマシな攻撃だ! つまり、練習はしているって事。ミーレンと練習していたのか? 商人なのに?

 って、僕みたいな剣士じゃなかったの?


 『ぐわぁ』


 ハッとして声の方を振り向けば、サトンが鬼のモンスターに巻き付いていた。ナットスさんは剣を構え、ダイドさんは弓を構えてそれを見守っている。

 って、ミーレンがサトンに手を向けている!


 「サトン! 逃げて!」


 「ファイヤー!」


 僕の声で鬼のモンスターの攻撃を止めたが間に合わなかった!

 サトンの尻尾に攻撃があたり、いやそれよりも鬼のモンスターの方が、直撃を受けて息絶えた……。


 「仲間を道連れって!」


 「仲間? モンスターが仲間って」


 僕が言うと、おかしいとミーレンが笑う。


 「ほう。さすがギルドマスター。その体で受け止めますか」


 ロドリゴさんは、ムダマンスの攻撃を受けているのがやっとみたいだ。

 シュ!

 バシ!

 ダイドさんが、矢を放つもまた鳥のモンスターに邪魔された!


 「ウィンドバ、っつ!」


 その鳥のモンスターは、そのままナットスさんに襲い掛かり、魔法を止めた。

 それと同時に、ミーレンがナットスさんに襲い掛かる!


 シュ!


 「おっと」


 ダイドさんの攻撃をミーレンは上手くかわした。


 「飛び道具相手は、戦いづらいな。父さん!」


 「行け!」


 ムダマンスの命令で、鳥のモンスターがダイドさんに向かう。

 やっぱりムダマンスが、テイマーだ!

 鬼についているネックレスと持っている斧が同じだから、街を襲わせたのもやっぱりムダマンスだ! この二人だったんだ!


 鳥のモンスターに向けてダイドさんが矢を放つも鳥のモンスターは、器用に避けてダイドさんに襲い掛かる!

 弓を振って払い退けるが、当たらない!

 ダイドさんは、接近戦はきっと不利! どうしたら……。

 まただ! ミーレンがダイドさんに手を向けている!

 僕は、咄嗟に走ってミーレンに体当たりすると、体勢を崩し倒れ込んだ。

 と、その時――


 「ぐわぁ!」


 「お父さん!」


 と聞こえた! うん? お父さん!?

 声に振り向けば、ロドリゴさんはお腹を斬られ倒れ込んでいた! そこに、森からイラーノさんが出て来て、ロドリゴさんに駆け寄った!?


 「出て……来るな……と言った……のに……」


 これには、ムダマンス達も唖然としている。

 この二人って親子なの? 全然似てないんだけど!!

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