◆081◆気が合う仲間

 僕達は、街の外へ出た。幸い知り合いには出会わなかった。良かったぁ。

 イラーノさんには、ジーンがいるから大丈夫と言ったが、僕的にはあの男の仲間が現れてほしい。

 いやそれが目的だったりする。採取の方がついでだ。


 「ジーン!」


 僕は、ジーンを呼んだ。いつも何故か呼べば来てくれる。


 「もしかして、モンスターに乗って移動するの?」


 イラーノさんは、驚いて言った。

 歩いて行くと思っていたみたいだね。


 「うん。嫌ならここで待っていていいよ」


 僕としては、そうしてほしい。

 危険な目に遭わせる事になるかもしれない。置いて行けば、知らせに走るかもだけど……。

 でもあいつらが接触してくる時間ぐらいあるはずだ。


 「ううん。一緒に行くよ」


 「え!? ジーンに乗る気なの?」


 「俺じゃ乗れない?」


 「いや、乗れると思うけど。怖くないの?」


 「全くと言うと嘘になるけど、君に従順みたいだから」


 「うん。でもジーン達は、基本的に人を襲わないよ」


 僕がそう言うと、うんとイラーノさんは頷いた。エジンとは大違いだ。

 十分程で、尻尾を振ってジーンは現れた。


 「森に行きたいんだ。悪いけど乗せてくれる?」


 『了解ギャウ


 ジーンもイラーノさんが乗っても文句を言わず走ってくれた。




 僕達は、森についた。

 そして、ジーンと森で待っていたリリンと一緒に、採取をする事に。


 「あ、あのさ。撫でても大丈夫かな?」


 「え? 撫でたいの?」


 イラーノさんの言葉に僕は驚いた。

 撫でたいと言ったのは、僕が抱っこしているリリンの方だけど、リリンも一応モンスターだ。普通なら撫でたいと言わないだろう。


 「見ていると兎と変わらないようだし。でも抱っこは流石に無理だけどね」


 「じゃ、聞いてみる」


 イラーノさんとは、気が合いそうだ。


 「ねえ、リリン。イラーノさんが、君を撫でたいと言っているんだけどいい?」


 『いいわよギャウ


 リリンを撫でながら聞くと、OKをくれた。


 「いいって」


 「本当? じゃ、失礼します」


 恐る恐るイラーノさんが、リリンを撫でる。チラッとリリンは、イラーノさんを見るも大人しくしている。

 イラーノさんが、リリンを見てほほ笑んでいた。


 「かわいいね。そっちのオオカミはまだ撫でるのは無理だけど……」


 「うん。別に無理しなくていいよ。じゃ、ここらへんで採取しようか」


 「うん。どれかな?」


 僕達は、森の中に十分程奥に入った所で採取する事にした。

 今日は、ビリビリ草とアマイ薬草を採取するつもり。これなら簡単だからね!

 僕は、二種類を採取して見せイラーノさんに教えた。彼は、エジンよりずっと覚えがいい。直ぐに一人で採取できるようになった!

 まあエジンがダメダメなだけだけどね。

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