◇060◇消えた血痕
ロドリゴさんが言った通り諦めるしかないかもしれない。この傷だと、そこら辺の薬草じゃどうにもならない。
僕のせいで、ジーンは死んでしまう!
友達になったのに!
色々助けてもらったのに、お返してもできていない!
「うわーん!」
僕は、ジーンに覆いかぶさって泣いた!
それしか出来なかった!
それをただ何も言わず、ジッと三人は見つめていた。
「な……!」
「嘘だろう?」
泣いていると、ロドリゴさんとダイドさんが発した言葉が耳に届いた。
それで、顔を上げると――。
『
驚く事にジーンがうっすらと目を開けた!
しかも、ジーンを温かな光が包んでいた!
「え……?」
「クテュール、お前……」
「これ、僕がやったの?」
ロドリゴさんの言葉に、動揺して聞くも返事は帰ってこない。三人も驚いて見ている。
かぱっと開いていた傷口は、スーッと消えていった。
「えっと……助かったの?」
「いや、傷を治しただけだろう。これだけ出血があれば、傷を治しただけでは助からない」
安堵した僕に、冷たい言葉をロドリゴさんは返して来た!
「回復魔法が使えたんだな……」
ダイドさんも驚いて呟いている。
けど、嬉しくない!
助からないなら意味がない!
「どうしたらいいの!? どうやったら助かるの!」
泣きながら僕は叫ぶ。
「血などを形成する術は、回復魔法の中でも上のグレードだ。回復魔法を使える者でもそこまでの者はほとんどいない」
「そんな……」
ここまできて、助けられないなんて!
「ジーン、ごめんよ!」
『
ロドリゴさんが言った通り、目を覚まし傷は塞がったけど、息も絶え絶えだ……。
覆いかぶさったせいで、僕にもジーンの血がべっとりついている!
僕が、回復魔法を使えるのをわかっていれば、もっと早く使って助けられたかもしれない!
「死なないで……ジーン!」
そう言った時だった!
ジーンがまた光輝いた!
そして、驚く事にジーンはのそっと起き上がり、僕の頬をなめたのだ!
「……ジーン!」
嬉しさにジーンの首元にギュッと抱き着いた!
『
「あ、ごめん」
『
「ううん。よかった!」
僕は、泣き笑いしながらほほ笑んだ。
「チュトラリー……」
強張った顔つきで、ロドリゴさんが呟いた。
「みたいだな。こんな回復魔法はないから」
「え?」
「周りを見てみろ」
ダイドさんの言葉に驚くと、ロドリゴさんが言った。
言われた通り見てみると、さっきと何かが違う。けど、それが何かがわからない。
「そのモンスターが流した血が消えたんだ!」
ロドリゴさんの言葉通り、あの血だまりも僕に付着していたジーンの血も綺麗に消えていた!
どういう事?! 何が起きたの!
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