◇024◇頑固なエジン
ロドリゴさんが森に行ったのはもしかして、僕の事を疑っていてエジンの様に何か探ろうとしていた?
リリンって森の奥地に住んでいるみたいだし、普通なら僕は出会えない。
まあエジンは、僕の事を認めたくなかっただけだろうけど。
「あの本当は、崖から落ちたんだけど木の上に落ちて助かったんです。何とか崖から這い上がったらリリン達がいて、お話が出来たからテイマーになったんだって思って、ジーンにここまで送ってもらったんです……」
僕は、そう言ってつじつまを合わせた。
「なるほど。彼らに初めて会ったのは、その崖だと言うんだな?」
「はい」
「で、その崖には二人で向かったんだな?」
「はい」
「違います!」
エジンは、往生際が悪く否定した。
まあ認めれば、自分が崖から落としたという事になりかねないもんね。
「まあ。そこら辺はいいとして、そこに連れて行ってもらおうか」
そこはって……。
僕としては、そこを問い詰めてほしいんだけどな。
崖から落とされた事は、信じてないのかも。
よく考えれば、怪我一つしてないし。
崖に連れて行かれたのは本当だけど、場所なんて覚えてない!
「無理です。だって行き方がわかりませんから。行くときはエジンについていって、帰りはジーンに乗って移動したから」
「な、俺だって知らないからな!」
まだ認めないのかよ!
「って、そいつに乗って来たんだろう? だったらそいつに案内させればいいじゃないか!」
っげ! 何を言い出すんだ! ジーンが知っているかもわからないのに!
って、案内させろって言われたらどうしよう。
「いや、それはやめておこう」
「え? 何故ですか?」
驚いてエジンが聞いた。
「罠にかかる可能性がある」
「罠って……」
それって僕も信用していないって事じゃないか!
まあエジンを襲ったからね。
って、僕がそこまでして何を隠していると思っているんだろう?
もしかして、キュイの事がばれてるとかないよね?
「取りあえず今日は、予定通り村に戻りなさい。明日、私達が村に伺うので、崖まで案内してもらおう。いいな」
いいなって言われても、わからないのは本当なんだけどなぁ。
どうするのこれ……。
っていうか、怪しいと思っている僕に、道案内にするんだね。
「ちゃんと、森に帰しておけよ」
ロドリゴさんは、部屋を出て行く時にそう言って出て行った。
村に連れて帰れないのは、新人教育のナットスさんから聞いて知っている。ちゃんと帰すよ。
ぐりゅるる~。
はう! お腹空いた!
って、結局もう昼じゃないか!
クスクスと笑いながらエジンは部屋から出て行く。僕は、その背中を睨み付けた。
「居たぁ!!」
ギルドの建物から出た所で大きな声をが聞こえた。
声の主は、リゼタだ。そうだ、忘れていた。置いて来たんだった!
「やっぱり戻ってた! って、エジンも?」
ぐりゅるる~。
また僕のお腹が鳴った。
「よし、何か食べて帰ろう! おごるから!」
「そうだな。三人で食いにいこう!」
っげ! エジンもかよ!
がしっと僕の腕をエジンは掴む。その目が怖い……。
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