第106話:兄弟
側近たちを部屋の外に控えさせ、リオルートはライツだけを連れて部屋の中へと入る。
ちなみにハリアスには妻のマリスを迎えに行かせた。
モランは愛那の部屋の前で護衛として控えている。
兄弟二人が入室した部屋の中には壁一面の本。
大きな仕事机と椅子。
一人掛けのソファがテーブルを挟んで二脚。
この部屋は魔道具による防音が施されてあるリオルートの仕事部屋だ。
二人がそれぞれソファへと腰を下ろす。
「しかし、おまえには驚かされてばかりだな」
開口一番リオルートがそう言葉を投げた。
「何のことですか?」
ライツが軽く首を傾げる。
「お前が長い間探し続けていた運命の相手が、救世主様だったことだよ」
「ああ。・・・・・・それには俺も驚きましたよ」
ライツが小さく苦笑し言った。
「そうだ。兄さんはハリアスからどこまで話を聞いているんですか?」
「何のことだ?」
「ごまかさないで下さい。俺とマナのことですよ」
真剣な顔のライツへリオルートが笑顔で答える。
「その話を聞きたくておまえをここに呼んだんだ。女性を振ってばかりだったおまえが、とうとう運命の恋人に出会い、恋に落ちたと聞いてな」
「・・・・・・そんなに楽しそうにしないで下さい。どうせ聞いているんでしょう? マナには好きな相手がいたってことを」
「ああ。聞いている」
笑顔のままリオルートが頷いた。
「私にはそうは見えなかったけどな」
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