第53話:ライバル宣言
王子が公爵令嬢に振られた一連の出来事はすぐに城中に知れ渡った。
あの後、自分の部屋に閉じこもったレディル。
その日はレディルに会うことが出来ないまま ライツは城を出て別邸へと帰宅した。
幼い王子の傷ついた心を癒やす時間が必要だということで、ライツは次の日から城に行くことを控えることになった。
その間に領地から呼び出されたライツの父とルーシェの父が登城し、王と王妃と共に話し合いが行われた。
その結果、レディルの希望もあり、ライツとルーシェは、それぞれ実家の領地へ帰ることとなった。
ルザハーツ領へ帰る日、ライツは父親と一緒に城へ向かった。
そこで、玉座に座る国王にライツは問われた。
「ライツ、おまえは王座を望むか?」
ライツは「いいえ」と答えた。
「各教師たちに話を聞いた。おまえはどの分野も優秀で、その魔力の量は底が知れない。さすがは王家の血を引く者だと、そう言っておった」
「それはレディルも同じです」
「うむ・・・・・・」
「おじうえ。おれは将来騎士になり、ルザハーツ領で兄の手伝いをするつもりです」
「レディルもそうだが、ライツ、おまえもまだ幼い。成長と共に違う道を望むこともあるだろう。今日、わたしがそなたに伝えたかったのは、次の王がレディルと決まっているわけではないということだ。ルーシェ嬢が言っていた通り、その時王に相応しい者が選ばれる。それがレディルか、そなたか、他の者かはわからぬが・・・・・・」
「次の王はぼくがなります!」
その大きな声と共にレディルが姿をみせた。
「レディル・・・・・・」
力強い眼差しでレディルはライツを真っ直ぐに見て言った。
「ぼくは強くなる! ライツよりも強く! そしてルーシェにぼくのほうが次の王にふさわしいと言わせてみせる!」
可愛い弟的存在にライバル宣言されたライツは、驚いた顔を笑みへと変える。
「レディル。次に会うとき、お互いどれだけ成長してるか楽しみだな?」
ライツの言葉を受け、レディルも笑みを返した。
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