ママ、私、楽しくやれてるよ
「こんにちは~」
「おじゃましま~す」
お昼になってみんながうちに集まり始める。よっしーとマリーとしーちゃんとむっちゃんだ。他は遠慮しててうちには来ない。だから学校でってことになるかな。
いつもはパパと私しかいない家に、女の子の声が充満する。ガハハ!な私とパパの会話ばっかりだったのが、キャッキャウフフな感じ。でもまあ私と気が合う子達だから決してお上品とかじゃないけどさ。
パーティの用意はパパが済ましてくれてる。宅配ピザにお寿司にケーキ。お菓子は各自持ち寄り。
「誕生日おめでと~!」
みんなが揃って、ママの人形にも参加してもらって、パーティが始まる。でも子供だけで火を使うのは危ないってことで、ケーキにろうそくは立てない。パパが一緒ならOKだったけど、女の子だけの中にムサいオッサンが一人なんていろいろアレだから別にいい。
「はい、みっちゃん、これプレゼント~」
「ありがと~」
みんなそう言ってがプレゼントをくれた。よっしーとマリーからは明らかにガチャでダブった刀剣男子のマスコットとキーホルダーだけど、私の推しだったから素直に嬉しい! しーちゃんやむっちゃんからも刀剣グッズだった。うふふふふ♡
変にお金かけてプレゼントとかっていうのも私達の間ではしないことになってる。だからみんなの誕生日とかで私からプレゼントするのだって同じような感じのだし。
海に行った時に途中のガチャで刀剣のがあって、私がやりたそうに見てたらパパが「五回だけな」と言って百円玉二十枚出してくれた。そうやって小銭を用意してるあたり、完全に最初からそのつもりだったよね、パパも。
一緒に出掛けたりするとそういうこともあるから、ここまででガチャのだぶりとか推し以外のは確保してあるんだよね~。
みんなでピザとお寿司食べて、ケーキは食べてもらって、持ち寄ったおやつを食べて、ゲームとかアニメとかの話で盛り上がって、すっごく楽しかった。ママの人形も楽しそうに見えた気がする。
みんなもその人形がママ役なの知ってるから、ちゃんと溶け込んでたと思う。
ママ、私、楽しくやれてるよ。見てくれてるかな?
「おじゃましました~」
「バイバ~イ」
「またね~」
パーティが終わってみんなが帰ると、パパが部屋に入ってくる。残ったケーキにろうそくを立てて、改めて家族だけの誕生日パーティが始まる。
「十二歳、おめでとう」
ろうそくの火を吹き消すと、パパがそう言ってくれる。みんなとのパーティの後のすごい状態だけど、別にそんなのは気にならない。三人でのパーティも嬉しかったんだ。
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