始動
「洋人、約束通り、私の服を着てくれているのね。しかし洋人、本当に綺麗ですね」
「姉さん……」
「洋人、時間がありません、よく聞いて、これから半年に一回、この状態で会えるようになります。私の研究は宇宙を跳躍する研究です、いつか行けるように研究しています」
「大体のことは推察できますが、後ろの方はどなたですか?」
サリーさんが、
「私たちはお嬢様の従者です」
「洋人の姉として聞きますが、洋人のなんですか?」
「お嬢様の愛人です」
「洋人、そちらの世界では認められる関係ですか?」
「小雪と申します、関係についてお答えします」
「この世界では、女性が数的に多く、ために女性の同性婚多妻制は珍しくありません、私たちは皆、愛人です」
「そうですか、なら認めましょう」
「自己紹介してくれますか?」
「サリーと言います」
「ビクトリアです」
「ダフネと申します」
「アテネです」
「アナスタシアと申します」
「私は小雪と申します、アンドロイドです」
「同じくアリスです、私もアンドロイドです」
「洋人の姉です、アリスさんとおっしゃいましたか、幾らアンドロイドでも、もう少し成長した姿になってからにしてください」
皆がすこし微笑みました。
小雪さんが、
「いつか仰せの通りにいたします」
姉が、
「皆さま、洋人をよろしく頼みます」
「ところで洋人、皆さんがご自分のことを、愛人と云っていますが、姉としてそれはゆるしません」
「後ろ暗いことがない以上、皆さまは妻です、私は皆さまを洋人の妻と認めます」
「私にとっては義理の妹です、洋人もそのように接すること、いいですね」
「洋人、身体は大丈夫ですか?」
「健康です」
「一人ではないようなので安心しました」
「姉さん、こちらに来られるのですか?」
「いま研究中です、しかし五分五分の所までこぎつけました」
「私の手元には、マイクロブラックホールがありますが、転移するためには、そのエネルギーでは少し足りません」
「しかし方法論としては、一方通行なら可能なものがあります」
「エネルギーを凝縮する方法を模索中です」
「いつか洋人を、この手で抱く日を楽しみにしています」
「姉さんは健康ですか?」
「私は大丈夫です、でも男ができませんね」
「洋人、時間……」
時間がきたらしく映像が切れました……
姉さん……
「お嬢様、綺麗な方ですね」とサリーさんが云ってくれます。
私は振り返って、
「姉がゆるしてくれましたよ、皆さんはこれで正式に妻です、吉川の家の嫁ですよ」
「サリーさん、貴女はこれから、吉川サリーですよ」
そう云われてサリーさんは嬉しそうです。
皆を見るとやはり嬉しそうです、アリスだけは不服そうですが。
アナスタシアさんが、
「さあイシュタル様、皆、イシュタル様のご命令を待っています」
「この世界の、けりをつれなければならないのがイシュタル様、私は皆さまのように戦いは得意ではありませんが、私の全てを差し出します」
「どうぞイシュタル様の、なさなければならぬことを、なさってください。私の未来もそこにあるのです」
ビクトリアさんが、
「私はあるじ殿の剣として命令を待とう、しかしあるじ殿に誓おう、必ず生きてみせる、あるじ殿と時をともにするために」
アテネさんも、「同じです」と云う。
小雪さんも、
「私はマスターとともにある、私もマスターを邪魔するものは容赦しない」
アリスさんも頷いている。
サリーさんが、
「私は吉川サリーです。妻は主人といつも一緒にいるのが務め、お嬢様が行くところに必ず私はいます」
ダフネさんも、
「私も吉川ダフネ、サリーと同じ思いです」
皆さん、ありがとう……
「この世界はかなり見聞させていただきました、良くも悪くもあります」
「私は黒の巫女、ならば神聖教と接触しなければなりません、私は皆さんに誓った通り、できるならこの世界を、いい方向に向かわせたいと、考えるようになってきました」
「皆さんと出会い、捨てたものではない、この世界を知りました」
「私は皆さんの協力を仰ぎ、この世界をよりよくしたいと願います」
「皆さんの生まれたこの世界が、私の愛する世界の様な気がしてきました」
「アポロ執政がいわれた通り、私の立ち位置は一応確保されています、ならば前へ進もうと思います」
「当面は神聖教との関係です」
「ダフネさん、よろしいですね。貴女は私の頼りになる知恵です、貴女に命じます」
「ダフネ、黒の巫女の行く道を掃き清めよ」
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