異世界召喚
ユウスケ達の意識が戻った時、そこには複数の人間がいた。
自分たちを取り囲むようにして剣に手を添えている中世の西洋風な騎士らしき者たち。
自分たちの正面にいる、同い年ぐらいの煌びやかなドレスを身にまとった少女。
力尽きたかのように、地面に蹲る魔術師然とした格好の男達。
その中でも、煌びやかなドレスを身にまとった少女が話しかけてきた。
「ようこそお越しくださいました。勇者様」
「勇者様……?」
マサヨシが呟く。
「そうです。勇者様。我が国をお救いください」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。いきなり勇者だなんて言われても訳が分からないんだが」
どうやらマサヨシが代表して答えるようだ。
ユウスケはなんとなしに状況が予想出来ているが、ここは黙っておくようだ。
「はい。それも当然の事ですわ。ですが、ひとまず謁見の間に移動して、お父様からお話を聞いてくださらないでしょうか?」
「そうか、話をしてくれるというのなら、そこに移動しよう。ところで謁見の間という事は、ここはお城なのかい?」
「その通りですわ。申し遅れました、私はこのラストア王国の第二王女、ネフィティア・デフォン・ラストア。ネフィアとお呼びください」
「えっ!? お、王女様!?」
「あらあら、そんなに緊張なさらないでください。あなたは勇者様なのですから」
そう言ってネフィアはマサヨシにぴたりとくっつき、腕を組む。
「え、あ、王女様……?」
「ネフィアです」
「ね、ネフィア、その、む、胸が……」
「あら、なにかございました?」
「いいえ!」
何事もないかのように、ネフィアはマサヨシに更に密着する。
どうやらマサヨシも満更ではないようで、鼻の下が伸びている。
フウカ、アヤ、スイレンは、それを面白くなさそうに睨みつけている。
そんな何とも言えない空気のまま、ユウスケたちは謁見の間の扉の前へとやってきた。
「この先に我が父、ラストア王国第十三代国王、アレキサンドリア・デフォン・ラストア陛下がおられます。くれぐれも不敬のないようご注意くださいませ」
その言葉に、ゴクリと誰かの唾を飲み込む音が聞こえた。
誰もが王様との謁見なんて初めての事だ。
緊張しているのだろう。
「では行きましょう。開けなさい」
ネフィアが扉の脇に控えている兵に命じて、その厳格な扉を開かせた。
するとそこは、誰もが羨むような煌びやかな大部屋だった。
真っ赤な絨毯が入り口から王座まで敷かれていて、部屋の両側面には鎧を纏った兵が並んでいる。
品のいい調度品が部屋のあちこちに置かれ、天井には大きなシャンデリアがぶら下がり、部屋の煌びやかさをその灯りで更に際立たせている。
そしてより一層贅を凝らした王座には、四十代くらいの厳格そうな男が座っていた。
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