第79話 生徒会代表選挙 集結編
「綾姉、私この学校でやりたいことわかった気がするよ。」
朝、マンションのエントランスで待ち伏せて宣言した。
「代表選に立候補するよ。私は学年の枠を越えた交流の機会を増やすことで今回みたいな事件を防ぐよ。」
うん、眠そうな顔が優しい顔に変わってきた。遅くまで結婚式の打ち合わせしてたのかな?それともその後に先生とイチャイチャしてたのかも!1人で想像しながらニヤニヤささてたのかもしれない。
「あんた、なんてしまりのない顔してるのよ。どんな想像したのか教えなさいよ。」
「べ、別に変な想像なんてしてないよ。綾姉が眠そうだな〜って見てただけだもん。」
「ふ〜ん。あんたは私が先生と夜通しイチャイチャしてたのを想像してたわけね?全くムッツリスケベなんだから。ちゃんと相手見つけてから発情しなさいよ。」
ちっ!やっぱり綾姉には勝てないらしい。
「おはようございます。」
マンションを出たところでみやびちゃんが合流した。
「雅、香澄が代表に選ばれて役員に指名されたらどうする?」
「生徒会ですか?」
みやびちゃんは全く考えてなかったようで、鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔をしている。
「ん?全く考えてなかった?香澄が立候補するかもって思わなかった?」
「まあ、考えましたし立候補すれば当選するだろうって思いますよ。でも2年の先輩達を差し置いて私を選ぶとは思わないですね。」
「だって香澄、意外な意見でびっくりしたわ。」
みやびちゃん以上に信頼できる人なんていないのに。
「大事なのは信頼関係よ。それを考えれば雅以外に誰がいるのよ?」
「みやびちゃん。私、代表選に出るよ。だから、もし当選したら私を助けて欲しいの。やっぱりみやびちゃんがお目付役じゃないとね。」
そう。たまに、ごくたまにポンコツ化するという噂の私にはみやびちゃんというお目付役が必要なのです。かの新撰組も副長が切れ者だったのだ。ということは、私が代表選で当選した場合は私が会長、副会長にはみやびちゃんが適任でしょう。あとは会計、書記、庶務くらいかな?
書記には史華ちゃんが適任だけどそうちゃんに恨まれるかな〜。時間とることになるもんね。
「う〜ん、私が生徒会か〜。とりあえず選挙の手伝いはよろこんでやるよ。と言っても信任投票だけのような気がするよ?綾音さんが推薦人になるんでしょ?もう当選確率99%くらいでしょ。」
対抗馬なしは選挙戦としてはよろしくない。
やっぱり選挙で競い合って選ばれたいなぁ。
あとから難癖つけてくる人もでてくるだろうしね。
「綾姉。他に立候補する人いそう?」
「いまのところ届出はないわよ。内申書にも関わってくるから推薦狙いの人とか出てくると思う。今のところあんたのネームバリューって見てくれだけだから名前負けする人もいないだろうしね。」
うっ!まあ、そんなものはないだろうけどもっとソフトな言い方があるよね?
とりあえずやるからには勝ちたい。
「まずは私がやりたいこと、そのために何をするか。需要と供給。みんながどうして欲しいのか?そのために私は何をするべきか。マニフェストの提示が必要だね。綾姉は選挙活動手伝ってくれるの?」
「私が推薦人になるんだから手伝うに決まってるじゃない。できれば5人くらい運動員が欲しいわね。」
みやびちゃん、綾姉、裏方なら史華ちゃんも手伝ってくれるだろう。あとは男手が欲しいところ。ダメ元でそうちゃんと葛城くんに声を掛けてみようかな。
独り言のようにウンウンと頷いていると、みやびちゃんの顔が目の前にあった。
「ひゃあ〜、び、びっくりするでしょ。ファーストキスはそうちゃんにあげるんだからダメだよ。」
そんな残念の子を見るようにしないでよ、みやびちゃん。綾姉はお腹抱えて笑ってるし。
「とりあえず香澄ちゃん。立候補の届出からだね。あとは協力してくれそうな人に声かけておこうか。史華と纐纈くんには香澄ちゃんから話してよ。うちの門下生も何人かいるから話しておくね。」
さすが鬼の副長。仕事が早いね。
♢♢♢♢♢
「わりぃ、無理だな。」
「え〜、そうちゃんなら2つ返事で引き受けてくれるって思ったのに〜。」
選挙運動の協力を取り付けるために、B組でそうちゃんと葛城くんを捕まえたんだけどあえなく撃沈。「無理」と言われちゃった。
「大会近いんだ。クラブの練習なくても自主練があるから時間とれないな。」
「あ〜、それだとお願いできないね。うん、わかった。練習頑張ってね。」
う〜ん、残念。
そうちゃんが練習なら史華ちゃんの時間は空くかな?
「うん、いいよ。最近バイトやり過ぎで調整しなきゃいけないからそれなりに手伝えると思うよ。」
「史華ちゃ〜ん、ありがとね〜。そうちゃんには即断られたから史華ちゃんがOKしてくれて良かったよ。」
史華ちゃんに抱きつきながら頬ずりをする。
すべすべお肌で気持ちいい。
この頬にそうちゃんはキスするのか〜。
そんなことを思いながら頬ずりを続けているとふと気づいた。
そうちゃんはここにキスする?
ということは史華ちゃんに頬ずりすることはそうちゃんとの間接キスになるんじゃない?
「香澄ちゃん?恥ずかしいからそろそろやめてね?」
肩を押されて距離を取られた。
「あ〜!そうちゃんの間接キスが〜。」
史華ちゃんに白い目で見られる。
いいじゃない、史華ちゃんは直接なんだから間接くらい堪能させてよ!と心の中で訴えてみる。
「とりあえず放課後、教室に残っててね。」
♢♢♢♢♢
「ちょっとみやびちゃん!集め過ぎじゃない?門下生何人いるのよ?」
男子の人口密度が増えて教室は異様な雰囲気になっていた。
「18人いたよ。香澄ちゃんの手伝いって言ったら快く引き受けてくれた。」
「まあ人徳よ、雅のね。とりあえず立候補の届出はさっき終わらせてきたわ。来週から運動期間に入るからそれまでに準備しましょう。まず、香澄は就任後の目標を明確にすること。その実現に向けてやりたいこと、できることを明確にしておきなさい。」
「了解。」
なぜか綾姉の陣頭指揮の元に活動方針が決められていく。
「まあ、他の人は来週までやることないわね。何にせよ香澄の方針しだいだからしっかりとした方針を打ち出しなさいよ。」
そうちゃんのためにも、私は頑張らなきゃね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます