カクヨム限定閑話 犯罪組織の壊滅
これは学校生活を送っていたある日のこと。
今日も今日とて、いい天気。
実に昼寝日和だ。私の席は窓際だったため、日射しがよく当たる。春のポカポカ陽気には気持ちの良い場所だ。夏は勘弁したいが……
先生も皆、怒ることを諦めているため何か言われることはない。毎日寝ているが、今日は無性に日向ぼっこしつつ昼寝をしたい。
隣を見れば、三人衆が一人リコ・シルフィーが真面目にノートに授業内容を書いていた。
いつもは何か考えごとをしているようで先生の話など聞いていなかったが……珍しいこともあるもんだ。
何か起こるかもしれない。あ、今フラグが立ったかも。
「おい、お前らぁ! 手を上げろぉ! さもなくば殺すぞ!」
不審者3人が教室に入ってきた。実にうるさい。
それでも私は構わずに昼寝をする。
「おい、そこの女ぁ! この状況で寝ようとしてんじゃねぇよ! 頭いかれてんのかぁ!?」
「……」
「おい、今日もいい天気だなぁみたいな顔で外見てみてんじゃねぇよ! 俺様を知ってんだろぉ?」
「いえ、知らないです」
男のコメカミがピクピクしている。
「そうか、なら教えてやろう。俺様たちは――」
「あ、いえ、教えてもらわなくて結構です。興味ないんで」
「ふっ……ふっ……お前はどう教育されてきたんだ? 自己紹介は素直に聞いとくもんだぜぇ。親に習わなかったらかぁ?」
「いえ、特には……」
「そうか! お前の親の顔が見てみたいもんだなぁ、あぁ?」
「ヴァーゲル商会の娘ですけど」
「あそこかよっ!」
「知ってるんですか?」
「あったり前ぇよ。俺様たちは領都のことならなんでも知ってるドゥンケル・オルガニッザツィオーン、略してドゥオルだぜ。名前くらい聞いたことあるだろ!」
全く聞いたことがない。というかなんかカッコいい名前。
「リコ、知ってますか?」
「当たり前じゃない! むしろ知ってて当然なんだけど!?」
「知らねぇってどんだけ甘えられて育てられたんだよ。俺様たちはなぁ――」
「ドゥオルは人身売買とか密輸とかの犯罪に手を染めてて、領軍もまだ全てを逮捕できてないでっかい犯罪組織なの」
「俺様のセリフ取ってんじゃねぇよ!」
「たぶんここにきたのは、とりあえずここに監禁して身代金と女目的ね」
「なんでお前が知ってんだよ!」
「ふふっ、あたしは『読心』っていうスキル持ってるの。あたしに隠し事なんて、無理よ!」
「クソがっ」
「てかあんたさっきから気持ち悪いわよ。頭ん中、金と女と自分のことでいっぱいじゃない」
「なっ……お前っ」
男は仲間の2人にジト目で見られた挙げ句、クラスの全員からジト目を向けられ、キレた。
「ああ、そうだよ! 俺様は金と女目的できたが他にもいるんだ、とりあえずお前らは死ねっ」
「あ、それは困るからやめて」
「えっ、なっ、何が」
男は銃を乱射しようとしたとき、仲間も含めて首より下が凍ってしまった。凍ってしまった、より凍らせたの方が正しいか、私がやったのだし。
「ま、これで逮捕ね。恨むなら私のいるクラスに入った自分を恨みなさい」
「さすがシオン様!」
三人はものすごく歯噛みしていた。何とか氷を砕こうとするも全く動かない。僅かな擦り傷程度のヒビが入るくらいだ。あっさりやられたが実はそれなりに強かったのかもしれない。
「てかダッセー。叫ぶだけ叫んで捕まるとか、マジダセー」
クラスの誰かが言った。
それを皮切りにクラスのみんなからバカにされる。
氷が砕ける前に男たちの心が砕けそうだ。
少しして警察がきて男たちは氷に入れられたまま引き渡された。
数日が経ち、私は領都のとある裏路地を歩いていた。
先日の犯罪組織を壊滅するためにわざわざここまで来たのだ。来るつもりはなかったのだが理事長の依頼だ。
「君なら出来るだろう? やっておいてくれ」と実に軽く言われた。お使い感覚だ。あの人は私を雑に扱いすぎだ。
何はともあれ、順長に本拠に近づいている。
「おい、お前……グペッ」
こんな感じでたまに聞き出したり、殴って気絶させたりして、徐々に近づいていった。
そして1時間ほど歩いてようやく着いた。
裏町にある周りよりも少し大きい建物だった。周りの人にバレぬように質素なものになっていた。
入り口に人の気配がする。
とりあえずノックがわりに扉と一緒にそいつの顔を殴る。
「なんだ! どうした!」
「敵襲! 敵襲!」
一気に騒がしくなる。男が十数人ほど出てきたが、いちいち相手するのも面倒なので、
「『
電撃が波のように広がり、男たちを気絶させていく。死なないようになっているはずなので死んではいないはずだ、たぶん。
私はそのまま階段を上り、ボスがいるであろう部屋を探す。片っ端から扉を開けて行き、最後の扉を開けると椅子に堂々と座っている太った男がいた。
「よくここまで来たな。で、何のようだ?」
「いえ、特には」
「そうか……えっないの?」
男はまさかの返答に呆然としていたが、すぐに元の顔に切り替える。
「誰かから命令されてきたのか?」
「はい、学園の理事長から。ちょっと潰してきて、と」
「軽っ!? お使いか!」
また元の顔に切り替える。切り替えの速さは理事長並だ。
「ということなんで消えてください」
「お前ら、やれっ!」
両者とも同時に駆け出す。
しかし、速いのは私。雷魔法や身体強化を併用して使っているので、そこらのやつでは話にならない。
「それではあなたは、警察に連れて行きますね」
「くっ」
喉元に短刀を突きつける。
「おい、帰るなら今のうちだぞ」
「……」
「この魔道具、知ってるか?」
懐から一つの拳ほどの大きさの魔道具らしきものを取り出す。それは丸いガラス玉のようだ。
「これが割れればなぁ、どうなると思う?」
「壊れる」
「そういうことじゃねぇんだよ、くそがっ。これが割れればなぁ、ここら一帯は爆発で吹き飛ぶぜ。どうせサツに捕まって死ぬくれぇなら、お前を巻き添えにしてやる」
男がガラス玉を地面に投げつける。
直後、大爆発が起こる。
あたり一帯が消し飛ぶ……ことはなかった。せいぜい部屋が吹き飛んだだけだ。誰も死んではいない。
「な……」
「風魔法で爆発を抑えました。やるなら何も言わずに不意打ちでやるべきでしたね」
「くそっ、化け物め」
念のため感電させる。
そして他にも拠点があるらしいのでそこも潰すことにする。一個一個潰すのも面倒なので魔法で一気に潰そうか。
「『
風魔法で空を飛ぶ。
私は上空から拠点に狙いを定め、
「『
複数の雷の龍が現れ、空を支配する。
そして、拠点に突っ込んでいく。
響きわたる轟音。しかし拠点以外の建物には
何の被害もない。
この魔法は最上級よりの上級魔法で扱える者は世界を見ても数人だろう。初めて使ったが上手くいったようだ。
地面に降りて、男を警察に連れて行く。
警察に連れて行くと何か騒がしかった。何やら、雷撃がどうやら誰の魔法やら。あっ、私か。
事情を話し男を引き渡す。
警察は本当に感謝していた。後日領主から報酬があるらしい。それほどのとこだった。それなのにお使い感覚で行かされた私は……
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