第150話 依存症者の告白(150)

 ゴミ収集車の助手をしていた時のことを思い出すと、強く、あやまりたい思いに駆られる。


 その人は、その会社にとって貴重な戦力だったはずだ。しかし、私はその人が、いい加減に仕事をこなしているように見えてならなかった。


 ゴミを出す人の中には、チャンと袋を閉じないで出す人もいる。その人とふたりで、収集車に投げ入れる時、たまに中のゴミが散らばってしまうことがある。


 私は、それをいちいち拾おうとしたけれど、彼は「いい、いい」などと言って、さっさと運転席に乗り込んでしまうのだった。


 細かいことにこだわった、私が悪いと今は思う。しかし、その時は、そう思わなかった。

 他にも、いい加減だなあ、この人、と思える何かがあった気がするが、よく覚えていない。


 しかし、その人は気のやさしい人だった。助手席の私に、へたな冗談を言ったり、気を遣っていることが、よく分かった。

 だが、私は「チャンと仕事をしない」人に、冷淡に振る舞った。つくり笑いも返さず、ムッとしていたのである。


 翌日、彼は仕事を休んでしまった。その日は、また私と組むローテーションだったはずだ。

 私が雇われる前に、社長が急死か何かされて、人手も十分ではなかったと思う。その日は、社長の奥さんが、必死そうに運転なさって、私はその助手席にいた。


 現場のことはともあれ、私が今も悔いているのは、自分が妙な「正しさ」に拘泥し、いい加減さを×として、その人をほんとうに傷つけてしまったことだ。思い出すと、ほんとうにつらい。


 20年前のことだから、もう相手は忘れているだろうけれど、私にはどうしても忘れられない。きっと、「正しい」と思うことにこだわって、あまりいいことがなかったのが、その後もいろんな職場で経験したからだと思う。

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