第141話 依存症者の告白(141)

 人体は、全くもって宇宙である。心臓を中心に、血液が回り、手足、爪先を巡って、休むことがない。

 脳は、また別の星雲であるようだ。恒星らしきものはあるが、そのまわりは特に軌道があるわけでなく、一定しない。


 ところで、私は一体何のためにここに書いているのか。

 血の通ったものを、書きたいものだ。頭だけを働かせて、冷たい机に体温を奪われて論理にとらわれていたくない。どだい、持久力のない、医者から「生きていくエネルギーの少ない」とお墨付きをもらった人間なのだ。いや、それはどうでもいい。


 私には、もう30になる一人娘がある。もし、「ヒトが子どもをつくるのは本能ですよ」というのなら、私の本能は、もう用済みである。


 自分が生きていた証しを残そうとするのが、人間の本能だとするのなら、私はそのために書いていることになる。

 こんな、なんでもない日常のことを、何の役にも立たない考えを!

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