第140話 依存症者の告白(140)
誰にでも、欠点はある。しかし、ひっくり返せば、それは長所になる。
〈裏を見せ 表を見せて 散るもみじ〉
一度は愛し合った男女が、その一方の欠点をクローズアップして見るばかりに、破局に向かうことは、残念なことだ。
戦争をせよとなど、教典のどこにも書かれていないのに、自分は正しいとする狂信者たちが異教徒を排斥しようとした宗教戦争の歴史。何を正当化しようとしていたのか。
自分と異なる人間を、どうして受け容れられないのか。
私は、強制されるのがとても嫌いだけれど、人には強制したいとする。
食器棚に置く食器の置き方とか、その買い物はしない方がいいだろう、とか。
思っていても、実際は口にしない。きっと、相手(恋人)も同じように思っているはずだから。
結婚が、妥協の連続というけれど、結婚なんかしなくても充分妥協の連続である。いや、そんな「連続」、四六時中、妥協に追い立てられているわけでもない。
ただ、どんな親しい仲になれたとしても、ひとりでいる時間、ひとりになれる空間は必要だ。
ひとりになれれば、また、会える。
さあ、歩きに行こうか。
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