第128話 依存症者の告白(128)

「幸せの、ど真ん中にいるのに 幸せが感じられない」

 そんな言葉が、町の中のお寺の、門脇の壁のガラス戸の中に貼ってあった。

 何でもない町中で、面白い言葉だと思った。

 では、不幸はどうなのか。それこそ、ど真ん中にいないと、感じられないものだろう。


 しかし、幸せとか不幸とか、そもそも定義づけられるものではないだろう。よくニュースになるパワハラ・セクハラと同様に、その人がそう感じれば、それがすなわちそうなのだ。


 ただ、幸せも不幸も、借りて来たレンズ越しに当てはめて見るようなもので、「これは幸せだ」という枠の外に出ないで自分が幸せだと感じることは、不幸な気がする。不幸についても、借り物の舞台で、つまり客観的に見て自分が不幸だと感じることは、ほんとうではない。


 個人の悲しみ、つらさ、苦しさ、その状態、それらが「不幸」なのであって、不幸そのものは、無いとおもう。幸せについても、楽しさ、気持ち良さ、心地良さがあって…しかし、幸せは、無い、とは、書きたくない。

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