第116話 依存症者の告白(116)

 画家に、「お酒を飲んで絵を書くか」と問うたところ、「飲まない。飲むと、(表現の)力が半減する」との答が返ってきた。

 かれは、まじめである。私は、数年前、酒を飲みながらブログを書いていた。翌朝、自分が何を書いたのか知らないほどだった。

 ただ、お酒や音楽の力を借りながら、気持ち良く、何かに憑かれたように書いていた。


 今、当時のブログを見たら、恥ずかしいと思う。もらうコメントに喜んで、勢いだけでやっていた感がある。それで、何かの部門で1位になっていたらしいから、よけいイイ気になっていた。

 しかし、あれはあの時期にしか書けなかったことだから、もうヨシとしている。もう二度と、あんな文章は書けない。


 それにしても、まったく失礼な話ではないか。酒を飲んで、ひとりでいい気になって、ほとんど本能のままに言葉を紡いで、それを開陳するなんて。と、今は思う。


 このサイトにも、夜な夜な、お酒を飲みながら書いたことが何回かある。だが、やはり酒はいけない。何か自分の言葉に責任を置けない感じがする。言いっ放して「はい、サヨウナラ」は、いけない。

 BGMも、モーツァルトならいいけれど、言葉の入った音楽はいけない。思考回路系統に、恣意・ひとりよがりさ・身勝手なノリが介入してくる。

 外部の音や、内部のアルコールの波にノッて行けず、自分が持ちこたえられなくなった、体力面の衰えもあると思う。


 というわけで、私は今後、酒を飲みながらの文章づくりはしない。晩酌をした後でも、麦茶などを飲んで酔いを覚ましながら書く。何かの力を借りずとも、何かが勝手に取り憑いてくる時がある。

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