第114話 依存症者の告白(114)

 しかし30〜40代が多く、異世界・転生・ファンタジーが主流であるかのようなこのサイトにも、私のような人間が1人位いても、許されていいのではないだろうか。


 たいした知識もなく、ためになるようなことは何1つ書けない。読んで楽しい物語も書けない。妄想に等しい想像力はあるつもりだけれど、創造力がない。


 漱石は、若いころ建築を勉強していたそうだ。設計や図面の作成、現実に建物をつくる思考の仕方は、小説をつくる際に役立ったという話だ。


 私の書けることは、昨日のこと、今日のこと、明日のこと。その時間の中で、思うこと。思ったこと。あるいは、感じたこと、考えること。せいぜい、この限りで手一杯だ。


 私は自分の軌道を外れて、言語表現をすることができない。その軌道は半径1mを越えず、私の視野、世界はひどく狭い。そのくせ頭の中だけは、茫漠としてとりとめがない。酸素が薄くて、このままでは自家中毒を起こしてしまう、そんなところから、言葉に助けを求めているフシがある。


 茫洋としている自分というものを、せめて言語に表わして、初めて私は私として客観的に存在するように思えてならない。


 だから私の書くものは、内容の充実した人間が書くものではない。自然、それ相応のものになる。まったく、「作品」と呼べるどころの話ではない。


 それでも万が一、読まれる方がいらっしゃったら、きっと嬉しく感じるのは何故だろう。この現実の世界が、異世界そのものであるように、自分に感じられているせいだと思う。

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