第110話 依存症者の告白(110)

 私が、パチンコでいよいよ借金を始め、もう死んでもいい頃だ、も考えられなかった頃、たすけてくれたのが現在の恋人である。


 20万ほどの借金を、彼女がぜんぶ返済してくれたのだ。

 彼女には旦那さんがいらっしゃったが、私と一緒に暮らし始めた。

 あれからもう10年近くが経つ。


「たら」「れば」は無い。しかし、もし彼女と出会わなかったらと考える。


〈恩義に縛られるほど、重い足枷はない〉


 とはいえ。


 彼女も私も、まるでそんなことなどなかったように、日々の暮らしをやり過ごしている。

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