第102話 依存症者の告白(102)

「心の部屋みたいなものがあるとしたら、恋をする人には窓があります。(カラクリの畳もあったりします)とりあえず窓を開けて、見ると景色が広がっています。その景色の向こう、もっと遠い、もっともっと、ずーっと遠いところに── 愛があるのではないか。…これ、気に入っているんです、最近」


 吟遊詩人が言う。


 カラクリの畳。自分の罠に、自分がハマるような感じ。

 景色の、ずっと遠いところに、愛。そう考えると、少し気が楽になるような。

 近いより、遠いほうが、何か自由な気もする。


 恋のほうが憧れに近く、だから遠いと思っていたが。愛のほうが、より身辺にあるもので、近いものだと思っていたが。

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