第101話 依存症者の告白(101)

 ところで、なぜ私の恋人は、私の恋人であるのだろう?

 彼女は、態度で表わす。行動で表わす。その愛情らしきものは、けっして言葉によって表わされない。だから、最も説得力を持ってる。


 対して私は、あやふやである。言葉では、よく表現しているつもりだ。「好きだよ」はたまに言い、1日に1回は「可愛いねえ!素敵だねえ!」と痴呆のように言っている。どこか、スレ違っている気がしないでもない。


「女と男は、永遠に理解し合えないんじゃないかしら」

 これは、ある美術館で私が労働らしきことをしていた時、80を越えた老画家がしみじみ言った言葉だ。

 90に近い、私の最も年長の友達は、奥様の言うことに「それは違う!」と、とても異を唱えたいのに、どうも我慢している様子がうかがえる。


 妻に先立たれた夫が、ほどなく、後を追うように自然に死んでしまうことが多いのは、気のせいだろうか。夫が死んだ後も、妻はしっかり長く生きているように見えるのは、気のせいだろうか。


「わたし、犬も飼ったことがないので、結婚は無理です」スヌーピーのマーシーは言った。


 ほんとうに男と女は違う。一緒に暮らすのは、大変なことだ。


〈だが、それがいい〉花の慶次だったら、そう言うに違いない。

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