第99話 依存症者の告白(99)

 初恋は、一生懸命だった。何に対して? 恋する自分に対して。

 初めての、念願の恋だった。誰でもよかったわけではない。自分と似たような感じ方をしているような、異性でないとダメだった。つまり、死にたがっていた女の子だ。

 家に遊びに来る友達、4、5人の中に、彼女がいた。私は、彼女が始めた「集団交換日記」の大学ノートに、


「生きていても、しようがないじゃないか。死にたい死にたい、死死死…」


 と書いているのを見た。高校に行って、大学に行って、結婚して…と、まるで決まっているかのような未来を、「つまらない」と書いていた。


 嬉しかった! 死にたいと思っていたのは、私ひとりではないことを知ったから。

 そして一緒に死のうとは思わなかった。彼女と、一緒に生きて行きたいと思った。


 だが、交際は2年で終わった。彼女は高校に進学し、私はセブンイレブンで働き出し、世の中には女の子がいっぱいいることを知った。私の浮気が原因だった。

 もう、ずいぶん前の話だ。


 それから、いろんな恋をした。人妻やら、インターネット・ラブ、携帯電話での出会い系、フリンやら、何やら。


 だんだん落ち着いて、もう恋はしないだろうという段階に入っている。今の恋人以外に、一緒に暮らせる人はいないと思うし、あの胸のトキメキを求める意欲も失せている。

 ただ、懐かしいと思う。本気で、一直線に、精一杯、他に言葉が見つからず「愛している」と真剣に言えた、あの季節を。いや、今も…

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