第91話 依存症者の告白(91)

「友よ、何も憂うことはない。必ず苦しんだ。いつだって、苦しいんだ。何も憂うことはない。もう、仕方がないんだ。きみは生きている。きみは、きみとして生きればいいんだ。ぼくは最後まで、きみを見ているよ。何も、きみを苦しめるものはない。きみはきみを苦しめる必要はない。これっぽちも、無い!


 ごらんよ、あの浜辺を。砕け散った貝殻ばかりじゃない。まっさらなのも、いっぱい、いっぱいあるんだ。破片ばかりを拾っちゃいけない。生まれたての、手つかずの朝が、もう、すぐそこまで来ている。きみよ、早まっちゃいけない。日々の責苦に、煩悶に、その身を焦がしてはいけない…」


「友よ。ぼくは憂鬱を楽しんでいるんだ。楽しいよ、ほんとに生きていることを実感する。素晴らしい気持ちだよ。邪魔しないでおくれ」

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