第90話 依存症者の告白(90)

 町の中のラブホテル。

 私たちは、正座して、「よろしくお願いします」と辞儀をし合った。


 私は彼女の肉体を欲し、彼女は私の肉体を欲した。

 ひとつ終われば、欲も沈んだ。自分は何をしているのだろうと思った。私は、ほんとうに彼女を愛しているのかと思った。


 彼女は彼女で、タバコに火をつける。

 私も吸う。

 何かをごまかしている感じがする。


 机の下に、腹這いになって隠れている子どもが、上目遣いに、まっすぐこちらを見つめている。


 丘の上のマンション。

 窓辺から、お寺が見る。私のお墓。彼女のお墓。今までつきあった友達、恋人の。

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