第83話 依存症者の告白(83)

「何か悩んでいても、朝、窓開けて、天気が良かったら気持ちいいでしょう。浅はかなもんですよ、人間は」

 予備校の講師が言っていた。


 ところで、浅はかであるのと、素直であるのとは、大差のない顔つきをしている。どちらも、そのままで、裏がない。

 浅はかが、重さがなくては成り立たぬようでなければいいのに。素直さが、こんぐらかりなくしても、それだけであればいいのに。


 予備校講師の言葉を吟味すると、彼自身が浅はかであるように思う。「人間は」という主語を使う時、それはその人の人間のイメージなのだから、その人の思考を表わすことになる。


 浅はかさは、嫌いではない。ただ、自分以外の人が、その自覚なくしてそうであったなら、私はその人をそれほど好きになれない。

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