第81話 依存症者の告白(81)
〈この世の怨みは 怨みをもって静まることはあり得ない
怨みを捨ててこそ静まる これは永遠の法である〉
アメリカとイラクの戦争が、終息に向かう頃だったろうか、米国民の女性が、「もう戦争は辞めてほしい」と涙ぐんで言っているのをテレビで見た。確か、その方は、息子さんをその戦争で亡くして、まもないはずだったと思う。
そのテレビを見た限り、「アメリカの国民の多くが、もうこの戦争を続けて欲しくないと思っている」ということだった。
「息子が殺されたことは、とても悲しいです。でも、もう怨んでいません。この戦争を止めて欲しい」そのような言葉も、印象に残っている。
ところで、喜怒哀楽の感情の中で、「怨み」は「怒」に近そうだ。そして怒りの背後には、正しさ、正義といった陰影がつきまとう気がする。
国どうしの戦争は、そのトップ、権力者、軍が、始める。なぜ起きるのか、くわしく私は知らない。でも、その看板に「正しさ」が見え隠れして仕方ない。
為政者や権力者は、何のために嘘をつくのだろう。
「みんなが嘘だって分かっている嘘は、もう嘘になりませんから」
あ、そうですか…
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