第56話 依存症者の告白(56)

 女と男は、なかなか、同一線上に立てないものらしい。

 必ず、どうもスレ違う。

〈他の動物から分けられた人間という種の中でも、男と女は全くの別種であると、さらに区別して考えられるべきである〉


 むろん、個人差はある。だが、その前に、男であり、女であるという決定的な「差」、違いがある。

 私が、女を見る時、女としか見ていないからだろうか? 私は、自分の助平度には自信がある。できれば、体力が持続する限り、いつまでもベッドの中でそういうことをしていたいと思う。男に対しては、そんな気持ちにならない。


 この時点で、もう私は「差別」の芽を心根に宿し、せっせと水をまき、都合のいい解釈へ己を導こうとしているのだろうか。


 いや、違う。断じて、女と男は違う。


 第一、セックスをする場合、どうしたところで、女は受動的にしかなれないのだ。女性が上位に立って、いや座って、その行為が営まれていたとしても、男のそれは女に「入っている」。この事実は、所謂男尊女卑の時代が長きに渡っていた歴史と、けっして無関係ではないと思われる。


〈歴史は、夜につくられる〉


 これは、どうしようもない。どんなに政界で、職場で、女性が上に立ったとしても、男は、少なくとも私は、その彼女を男を見るのと同じように見ることはできない。


〈差別は、それを見る者の眼球に存在する〉


 法律や規則といった、形而下のもので、なくなるものではないのだ。


 これは私自身の根深い問題として、自分が越えていかなければならない壁である。


 ── 先生、パチンコの話と、逸れてますよ。

 ── そうかな。僕にとっては、根っ子は同じ問題なんだが。


〈地上にいるのに、私はいつも宇宙服の中にいて、自家中毒を起こしている〉

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