第52話 依存症者の告白(52)

「若年期は壮年期に向けて、壮年期は老年期に向けて準備せよ、といわれています。若い頃に、あなたは将来の準備をせず、ほとんどパチンコばかりしていました。そのツケを、今払っていると思いますか?」


「払うべき代償、ですね。いえ、私がこうなったのは、私が私であったためなので、パチンコをしていようがいまいが、何も変わっていないと思います。何か別のことをしていたとしても、その代償を払うことになったでしょう。断言します」


「後悔していない?」

「後悔、しようがありません。一生懸命、生きてきたんですから。毎日、ほんと、死にもの狂いでしたよ。借金もしたりして」


「これから、どうするつもりですか?」

「さあ、どうしましょうか…ただ、自分がどうなるか分からないところに身を置けることを、ありがたく感じたいと思います。こういう自分とつきあって、死ぬまで一緒に、面倒を見て行きたいと思います」


「幸せですか?」

「これで不幸だなんて言ったら、バチが当たりますよ。とりあえず、幸せです」

「出ましたね、あなたの得意技、『とりあえず』」

「はい!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます