第39話 依存症者の告白(39)

「ここに、こんな文を書くようになって、パチンコ屋に行かなくなった」と打ち明けたら、心に隙が生まれそうだから、言わない。

 しかし、ほんとうに行かなくなった。いいことだと思う。それだけ、お金もなくなったということだが。


 外国から来る観光客は、この蒸し暑い中でも歩いている。滞在期間も決まっているし、「今」観光しないで何をする、という感じ。

 私は、いつもそんな感じでパチンコをしてきた。「今」パチンコをしないで何をする。滞在時間は、閉店まで。江戸っ子は、宵越しの金を残さない。


 これから当たってどうするんだという、閉店近い時間に、1パチの甘に向かい、尿意に耐えながらお金をサンドに入れていた。


〈どうあがいても わだちは見えぬ

 道踏み迷うたぞ 何としょう?

 悪霊めに憑かれ 荒野のなかを

 堂々巡りする羽目か〉


 そんな、だいそれたものではないが、心情は近い。

 ぐるぐる回るのは、あの銀玉に賭した自分の、生活、時間。過ぎた日々。


 さあ、外を歩こう。

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