第31話 依存症者の告白(31)

「オレ、パチンコするためにパチンコしてるんだわ。わかる? 玉なくなった、お金入れる、なくなった、入れる…繰り返してるだけ。完璧病気なんや」高級旅館の料理長が言った。

「もう、病気ですからね。またぼくは、やるでしょうね」九州に住む友達が言う。


「昔、やったけど、自分を憐れむ場所だったなあ」友人の画家。

「パチプロになろうとしていたんだけど」30年来の友人。

 冬のボーナスを、正月の休み中にぜんぶパチンコで失くした上司…


 パチンコをする人と、よく話した。現場仕事が多かった私は、職種のせいか、パチンコをする人が多いように思えた。いや、事務の人も、主婦も老人も、誰だってハマることはできるだろう。


 総じて言えるのは、パチンコについて話す時、仕事の休憩中などにみんなで笑って話すけれども、ひとりになった時、はたしてほんとうに笑えるのだろうかという、そんな影が見え隠れすることだった。マンガなら、人物の背後に斜線で引かれる、あの何本もの線。あの陰影を、背負っていそうだった。


 ビギナーズを除いて、心から喜んでパチンコと向き合える人など、ほとんどいないのではないか。

 どこかで、「こんなことしててもなぁ」と思いながら、ほとんど習慣のように、自動的に動く何かのスイッチが働いて、パチンコ屋に行ってしまう── そんな感じなのではないか。 


 ところで、この小文を続ける力が、失せてきている。

「パチンコ」と入力するだけで、げんなり、いやな気分になってしまうのだ。誰がつけたのか、品のない、下卑た名称だと思う。


 何のために私はパチンコをしてきたのか。あの瞬間瞬間の、膨大な時間は何だったのか。その意味、その動機、あのサンドにお金を入れ続けた行為は何だったのかを、書こうとして始めたのだったが。

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