第19話 依存症者の告白(19)

 昨夜は、「よし、明日こそパチンコ屋に行こう。北斗無双か、RAVEか、はたまたシンフォギアか…」などと、胸をふくらませて寝た。だが、今朝目を覚ませば、こんなことを書いて、自分のことについて考えている。

 今日、パチンコをしたにしても、しなかったにしても、どちらでも、私の希望は叶うことになる。打ちたいと思うのもほんとうで、打たない方がいいと思うのもほんとうだからだ。


 少し、趣味の話をしよう。音楽鑑賞(モーツァルト、RCサクセション)、読書(モンテーニュ)の他に、「銭湯」が、私の強力な趣味としてある。

 銭湯までは、家から歩いて30分ほど掛かる。往復8000歩。行くまでに汗だくになり、帰るまでに汗だくになる。しかし、好きなのだ。


 ミストサウナに入り、水風呂に入り、炭酸風呂に入る。420円。1時間は、居る。この炭酸風呂はきわめてぬるま湯で、実にゆっくり浸かっていられる。

 将来への不安、今現在の自分のこと、生活のことを考えながら浸かっていると、しかし今まで連れ添ってきたこの身体が、妙に愛しく、労ってあげたい気持ちにさせられるのだ。

 パチンコばかりして弱った腰、右腕。労働現場で、ずいぶん重い物も持ってくれた。タバコもよく吸ってきた…まったく、この身体さん、よくこんな私についてきてくれた…そんな思いにさせられる。


〈自分を苦しめるのは、やめた方がいい〉


 パチンコ屋にいる時、私は自分の中から、そんな声を聞く。

 私以外の誰からも、私は私にパチンコをしろという強制を受けていない。

 ドストエフスキーを読め。歩け。庭に来るアナグマの対策をしろ。それより何より、働け。働くこと、働くことが、今自分の一番やるべきことだと分かっている。

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