第6話 依存症者の告白(6)

 自分の話に戻そう。いや、正直に言おう。この「カクヨム」に小文を書こうとした当初、自分の体験を交えた物語にしようと思っていた。このサイトは中高生の利用が多いイメージがあり、主人公を高校生にし、パチンコに明け暮れる日常の様子を、その心理に重きを置いて、20、30、40歳ぐらいまでの「私」の人生を書こうとしていた。


 だが、ムリがあった。私は文才もなく、想像力も乏しく、語彙にも弱い。小説家に全く向かない、ただ自分のことを書きたい自己顕示家だった。それに、ほとんど読まれていないことを知っている。アクセス数も、7とか11で、この数字も機械的なもので、実際に読まれているのかどうか、怪しい。

 それでも、誰か1人ぐらいには、読まれていると思いたい。その貴重すぎる架空の読者に、私は正直に自分のことを書きたい。もう、物語づくりはやめる。


「私」がパチンコを始めたのは大学生の時で、高校1年というのは嘘である。

 23で結婚し、子どもも産まれた。31で離婚し、出会い系で知り合った女性と同棲生活。40で彼女と別れ、別の女性と一緒に暮らして8年ほどが経っている。

 そして、いつの時もパチンコをしてきた。していない時期もあったが、ほとんどしてきたと胸を張って言っていいと思う。

「暑い」と言ってはパチンコ屋に行き、無職の時は一緒の部屋にいるのが気づまりで行き、何かムシャクシャした時に行き、仲睦まじい生活が続くと怖くなって行き、歯医者に行くと言ってパチンコ屋に行った。

 何かと理由をつけて行ったのだが、


〈理由は後からつけるもの。〉


 結局、ただ、行きたかったのだ。このために、数千万円を失ったが、それで死ぬほど後悔しているかといえば、していない。あくまで私が私であるためにこうなったのであって、他のどこにも理由はない。むしろ、貴重な逃げ場としてあってくれたことに、多少のわだかまりをもって言うが、ありがたさを感じたい気持ちさえある。


 私の頭の中にはいつもあの場所があって、離れることができない。私が、あの場所を離さないのだ。

 こうして書いている最中にも、身体がパチンコを求めている。しかし頭は、そして胸の内のどこかでは、「もう、やだよ」と拒否反応を確実に示してもいる。


〈きみはそこに行くだろう。きみはそこに行かないだろう。きみは行くか行かないかのどちらかだが、どちらを選んでもきみは後悔するだろう〉


 はたして、そうだろうか。思わぬ臨時収入を得た時、帰りのスーパーでビールやつまみを買う時、そんな悪い気はしていなかった。ただ、それも刹那に過ぎない。

 現に、ついこないだ、半月かかって運良く勝った20万を、ほんの2日で失くしている。

 そう、あんな場所には行かぬが良いのだ。分かっているのに、分かっているのに、行きたくなるのは、どうしたわけなのか。

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