第28話 ダンジョン 第十一階層 

 第十一階層は山の麓で、ゆるい坂道が続いていく。

 羊?

 いや、ヤギ?


 既に前のパーティーがヤギLv.22と戦っていた。

 ヤギが突進し角で攻撃する。

 ヤギは一瞬で頭を剣で突き刺され消滅した。


 俺達はそのパーティーを追い越し先へ進む。


「待ってくれ。」


 パーティーの男が話しかけてきた。

 パーティーは男四人、女二人の六人パーティーだ。

 年齢は皆二十代だろう。


「どうしました?」

「いや、成果はどうかと思ってな。」

「ぼちぼちですよ。」


「お前ら動くなよ!」


 怒声が飛んだ。

 見ればハリカが剣を突きつけられている。


「お前ら、動いたらこの女が死ぬぞ。」


 ハリカは人質になっていた。


「あ、どうぞ、どうぞ。俺達は先を急ぎますので。」

「え〰、御主人様酷いですぅ。助けて下さいよぉ!まだ死にたくありません。早く助けて下さい。」

「でも、もう疲れたし。」

「そんな事言わずにぃ!どうして助けてくれないんですか?」

「だって、おっぱいないし・・」

「おっぱいはありますぅ。ありますから助けて下さい。」

「いや、ないやつのほうが珍しいだろ。」

「お前ら煩いぞ。おい!そこの胸のでかい女と男を縄で縛れ。」

「あっ♡」

「はい、ボス。縛りました。この女の胸は柔らかいですぜ。」

「くっ!」

「おい、貴様。俺の前に揉むやつがあるか!」

「すいやせん、ボス。あまりに柔らかそうだったので、つい。」


 結局、俺達はこいつらにどこかに連れて行かれるようだ。

 連れてこられた場所には小屋があった。小さな小屋だ。

 周りは林で小屋は周りからあまり目立たなくなっている。


「ここだ。入れ。」


 中に入れられると、既にロープで縛られたパーティー4人組がいた。

 男女二人づつのパーティーだ。

 男女は四名とも皆金髪碧眼で絵に描いたような美男美女だ。


「お前らは暫くここで大人しくしてろ。」


 強盗は戸を締めてどこかへ行ってしまった。


「大丈夫ですか?」


 4人組の中の女性が声をかけてきた。


「大丈夫ですよ。奴等は何なんですか。」

「奴等はこのダンジョンを根城にしている盗賊です。私達も捕まってしまって。」

「このダンジョンを根城にしてるんですか。(あれ?オープンしたばかりじゃ?)大変じゃないですか。愛想よく近づいてくるから知らないと捕まりますよ。被害者が増えるんじゃないですか?」

「私達も愛想よく近づかれて気がついたら剣で脅されここにつれてこられました。」

「俺がなんとかします。任せて下さい。」

「はい。頑張って下さい。うちの男どもと違って頼りになりますね。」

「そう言うなよ、リズ。」

「だったら頑張りなさいよ。」


 さて、どうやって抜け出そう。ロープは切れそうにないし。


「エイレム、火でロープだけ燃やせるか?」

「はい、出来ますわよ。やってみます。『ファイアー』」


ボッ!


「あーちちちちっ、何で俺のロープを燃やすんだ?でも、ありがとうな。」

「それは、当然そう思いますわ。やはり殿方に頑張って頂かないと・・」

「ま―仕方がない。お、切れたぞ。」

「わるいな。俺たちのロープもお願いするよ。」

「よし、エイレム燃やしてやれ。」

「え〰、手で解いてくれよ。お願いだよ。」

「仕方がないなぁ。」


 俺は静かに全員のロープを解く。

 小屋のドアを静かに開け外を覗き見るが、近くには誰も居ない。

 当たりは既に暗くなり、盗賊たちは少し離れた所で火を焚き酒盛りをしている。

 近くを探すが剣はない仕方がない。落ちている木の棒でやっつけるか。まぁ、相手は酔っ払い。大丈夫だろう。

 探すと、おあつらえ向きに木の棒が落ちていた。

 棒を広い手に持ち静かに盗賊に近づく。

 至近距離まで近づき棒を大きく振り上げた。


 クシュン!


 刹那、

 リズがくしゃみをした。

 え〰〰、リズ、このタイミングで?駄目だよ。

 盗賊は俺に気づいて酔っぱらいとは思えないような速さで後ずさり、剣を手に取り構える。


「何だお前ら脱走したのか?それで、武器は木の棒か?あ~っはっは!おまえら、男は叩きのめせ!それからお前らぁ、掃除好きな俺のパイプ掃除を見たいかぁ?これから存分に拝ませてやるぞ。なんてったって、俺は履歴書には特技の欄にパイプ掃除といつも書いてるからな。勿論その巨乳女のパイプだぞ。」

「わ、ワタクシのパイプですか。もう、今日の掃除は御主人様の棒での掃除予定で埋まってますのでお断りしますわ。」

「ぼ、ボクもボクのパイプも御主人様のコブラで掃除予定です。ごめんなさい。」

「そんな予定はキャンセルさせてやるぞ。お前らやっちまえ!」


「え?」


 突然盗賊の頭の上に数字が・・


 盗賊の親玉Lv.43、盗賊Lv.39、盗賊Lv.37、盗賊Lv.37、女盗賊Lv.40、女盗賊Lv.32


「な、何だ、こいつら皆、盗賊という名の敵だったのか?」

「そ、そうみたいですね、御主人様。だったらなんだったのでしょう、あの小芝居。」

「り、リアリティーを大事にしてるんだろうな。」

「もう、ボクを人質にして。」

「エイレム、魔法だ。魔法で攻撃しろ。全体に攻撃。」

「すいません、レベルがワタクシの倍以上です。絶対に効きません。このままだと今晩私のパイプがピカピカに掃除されてしまいますわ。」

「仕方ない、あんた達四人組は大丈夫だろ?」


 俺は捕まっていた男女4人組に訊いてみた。


「すいません。僕たちもレベル違いです。どうしようも出来ません。お願いします。」


「何いってんですか。レベル違いって言うなら御主人様なんてレベル1ですよぉ。」

「え、ほ、本当に?レベル1?どうしよう、私達もパイプ掃除されちゃうじゃないぃ!」

「リズ、逃げましょう。」

「えぇ、ベス、逃げましょう。」

「え〰、逃げるのか?手伝いは?」


 男女四人組パーティーの金髪碧眼美男美女四名は自分たちだけ逃げだしてしまった。

 仕方がない、同じ立場なら俺でも逃げる。


 盗賊Lv.37が襲ってきた。他は傍観している。流石にレベル1だと馬鹿にしているのだろう。


 盗賊の剣が届く前に木の棒で喉を突く。

 盗賊Lv.37は後方に吹き飛ぶ。

 しかし、赤いバーは殆ど減らない。

 追い打ちをかけ攻撃する。

 木の棒で盗賊Lv.37を叩くが赤いバーは少し減っただけだ。



「ハリカ。俺の剣を探せ剣がないと負ける。早く見つけろ!あ、パイプ掃除されたいなら別だけど・・・」

「いやですよ!でも御主人様がパイプ掃除してくれるのなら見つけてきてあげますよ。嫌なら盗賊に木の棒で戦って下さい。エイレムもパイプ掃除されてしまいますよ。」

「分かったから。早く見つけろ。掃除棒が折られるぞ。」

「そ、それは困ります。毎日の掃除は欠かせませんから。」

「誰が毎日掃除するんだ!だったらエイレム見つけて来てくれ。」

「承知。」

「さすがエイレムだ。ハリカと違って文句一つ言わない。パイプ掃除と言わず、床磨きに色々するぞ。」


 それから暫く剣を避け続けた。

 他の盗賊はあいも変わらず傍観している。

 なかなか騎士道精神溢れる盗賊だ。


「御主人様、見つかりません。あ!盗賊が持ってませんか?」

「本当だ、盗賊が持ってるじゃないか。奴等隠してたからお前らが探しに行っても余裕だったのか。」

「あーはっはっはっは、馬鹿だあいつら!」

「くそぉー、馬鹿にされた。」


 しかし、木の棒を当てても赤いバーは減らない。

 相手の攻撃は話をしてても避けられるが、攻撃を当ててもほとんど減らないので埒が開かない。

 こうなったら、剣を奪ってその剣で攻撃するしかない。

 手を打って剣を奪う!


 バシッ!


 音が変!

 木の棒での攻撃だから仕方がないが、剣は落とせた。

 剣を片手で拾う。

 拾い上げながらそのまま下から上へ切った。

 確かな手ごたえがある。

 しかし血は出るものの切れてない。ダメージを受けてないのか?

 と思ったが赤いバーは消失した。


 盗賊が仲間を殺され焦ったのか盗賊Lv.39、盗賊Lv.37、女盗賊Lv.32の三人がまとめて襲ってきた。

 既に木の棒ではなく普通の剣を持った俺に敵はいない・・はず。

 確かな手ごたえで三人の剣を持つ腕を切る。腕を切り落とした・・・と思ったが、切れてもいない血が出ているだけだ。どう言う事だ?

 しかし、三人とも赤いバーが消失した。


「あんた、凄いじゃないの?うちのメンバー四人も倒すなんて。でも私とリーダーはそううまくは行かないよ。まず私を倒してみな!」


 女盗賊Lv.40がなぜか上からの態度で出てきた。

 次の瞬間、女盗賊は服を脱ぎ一糸まとわぬ姿になった。


「どう?裸の女は切れないでしょ?童貞君には。そう言う情報を得ているわよ。女には免疫がないわね。はーっはっは!これで貴様の負けは確定よ。」


 女盗賊はなかなか良い体をしている。しかもおっぱいもなかなかデカい。


「ご主人様、惑わされないで!そんな胸はただの脂肪の塊ですよ!」

「ハリカ、嫉妬は見苦しいぞ。」

「いえ、嫉妬ではなく忠告ですよ。負けますよ。」


 ハリカと話して横を向いた瞬間、女盗賊は俺の心臓めがけて剣で突いて来る。

 世界がスローになった瞬間俺は女盗賊Lv.40の剣を払う。そして俺は剣を投げ捨ててしまった。

 次の瞬間、俺は敵の策略に嵌まっていた。


 なんと、俺は剣を投げ捨てた両手で女盗賊Lv.40の胸を揉んでいた!


 「し、しまった。これが敵の仕掛けた罠か!」


 俺は叫んでしまった。


「何と言う狡猾なやつだ!」

「いえ、ご主人様がスケベなだけですよぉ。」

「ハリカ、マイナス10ポイントぉ。」

「は?乳首舐めながら言われても説得力がありませんよ。」


「はっ!」

 

 言われて初めて気が付いた。

 俺は、敵の胸を揉みながら、なんと乳首を吸っていたのだった。

 どうやら敵の魔術にでも掛かっていたのだろう。

 次の瞬間俺は痺れて体が動かなくなってしまった。


「どう?痺れ薬を塗った私の乳首は?さぁ、リーダー、お返しにその巨乳の乳首をなめてあげたらどうですか。」

「あー、待っていたぞ。この瞬間を‼よくやった。」

「え、エイレムぅ〰。俺の胸なのにぃー!」


 盗賊の親玉Lv.43がエイレムに迫る。


 クソぉ、どうしたんだ俺の身体ぁ!動け!動け!あっ、動いた。


 身体は簡単に動いた。すぐに痺れは取れた。

 俺は剣を拾い卑怯にも後ろから盗賊の親玉Lv.43を切り捨てていた。















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