第510話 罠!
次々と中に入ってくるタナトス達。
「嘘だろ……1匹でもあれだけ強かったのに」
「いっぱい来たです!気持ち悪いです!」
「どうしましょう、リュウトさん」
「どうしようかな、アカネ」
「ごめんっ、私の毒がどれか効けば……」
「……」
それぞれが焦り出している中、アンナは考える。
「(元々リュウトの【武器召喚】は期待しちゃいけないほど出現するタイミングがバラバラだったわ……でも出る時は必ず何か勝利を確信した時やピンチの時に出てくる)」
タナトス達は完全にリュウト達をロックオンしてゆっくりと炎の壁より外回りで取り囲む様に展開していく。
「(確かに、このタイミングで出てくるのは自然、強敵がこんなに出てきたならリュウトのランスで一網打尽出来るわ……でも、これはオーバーダメージじゃないかしら?タナトスの戦闘力を考えれば普通のリュウトと同じくらいの実力、あの程度なら魔眼を発動させればリュウト1人で何とかなるし、私達だって【限界突破】を使えば何なく倒せるような敵……)」
「何人来ようがこのランスがあれば敵じゃない!」
「(まさか!)」
アンナは気付き急いでアカネとあーたんに命令を出す。
「アカネ!あーたん!【限界突破】よ!リュウトにランスを使わせないで!」
「!」
「はい!【限界突破】!」
「【限界突破】ぁ〜!」
それを聞いてリュウトは引き、アカネとあーたんは前に出て限界突破を使いタナトス達を相手にする。
「アンナ、どういうことだ?」
限界突破は諸刃の剣だ、ここで使うということは魔神戦まで身体が持たないだろう。
「時間がないわよ!目的地に行きながら話すわ!【限界突破】!みや!アカネ!私が支援するからウッドリーワンドに穴を開けて!ここからタイムアタックよ!」
「う、うんっ」
「行きますよ!みやさん!」
アンナの魔法支援もあってみやは直径2メートルの大きな杭を作り出しアカネの全力のハンマーで一直線の道を作った。
「急いで!」
あーたんはついて来れないユキを背中に乗せてリュウトは全力で道を走っていく。
「フシャーーー!!」
「ふん!」
途中で襲いかかってくるタナトス達を単純な腕力と武器で強引に弾き飛ばしていくアカネとあーたん。
「それで!どうしてだよ!」
「あんたこの状況でわかんないの!?罠よ!その武器は!」
「どういう事だ?」
「そのランスは確かにこの世で最強の武器だけど、デメリットも多い!まず普段使ってるレイピアもどういう訳か手を弾いて使えなくなるし出しているだけで魔力を吸い続ける、それも大量に!だけど私達はまだ魔神の所についてすらいないのにそのランスを振り回すとどうなるか!」
「魔力が減った状態に……まさか!」
「そう、どうやったか知らないけど魔神はワザと今【武器召喚】を誘発させたのよ!」
リュウト達にとって武器召喚は逆転の切り札、勝利を確定するもの____今までは頼って来たその最強の武器が今や足枷となったのだ。
そして、タナトスの軍勢によりアカネとあーたんというリュウトと最前線で戦う者達とリュウトを後ろから支援するアンナを限界突破を使わせ戦力が裂かれた。
「まずい状況よ、引き返した所でどこまでその武器が出続けているか解らない、魔神を倒すまで出るのなら引き返して魔力切れを起こしたらアウト、私達の取る道はアカネとあーたんと私の限界突破が切れるまでに送り届けるしかない」
「そんな……」
「それに相手はその武器を誘発させてくるほどのスペシャリスト……今まで通りにならないのは確かね」
「くそ!」
リュウトは魔神を舐めていたわけではない。
だが、思いもやらないところで後手にまわってしまったのだ。
「なっちゃったもんは仕方ないわよ、全力でアンタを運ぶ!他のみんなもわかったわね!」
「はい!」
「はーい!」
「みや!アンタは魔神の弱点を突ける最後の切り札よ!死んでもリュウトにくっついていきなさい!」
「うんっ!」
「すまん、みんな……力を貸してくれ!」
リュウト達はタナトスを倒しながら魔神城へと向かっていった。
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