第494話 過去の未来

 《六英雄拠点 中央会議室》


 「始まったみたいですね」


 「そうみたいですね」


 1つの部屋からただならぬ殺気を感知して2人は確信し、ウジーザスは冷たい机の上にホットコーヒーを置きながらレナノスの入っている部屋をロックする。


 「今頃、トミーとマークも戦っているところでしょう」


 置かれたホットコーヒーをユキは一口飲む。


 「ふぅ……」


 「約束通り、1週間待ちました、質問に答えてくれるんでしょうね?」


 「もちろんです、数ある未来からその選択をしてくれてありがとうございます」


 「よく言いますね、どの未来にもアナタが出てきて邪魔をする……そしてそのどれもが『アオイ』を引きずり出して全てを破壊してしまう様に仕向けている」


 「ふふん」


 「未来の道は数ありますがその中でも私達が渡る道は1つ……それが現在と過去という道になります、だからこそ、未来が視える私は間違えるわけにはいかない」


 「そうですね、パラレルワールドとか並行世界とか、そんな都合のいい物は理想妄想幻想であって存在しない」


 「…………私が言おうとした事を未来視したんですか?」


 「いえ、これは未来視した訳じゃありません、正真正銘のウジーザスさんから聞いた話です」


 「……………そんな……まさか」


 「流石に分かりましたか、そうです、私は……ユキは__」















 「未来から来ました」















 「っ!!!?!?」


 ウジーザスは目を見開きすぐに攻撃魔法を構えてユキに向ける。


 「どうしました?そんなに驚いて……らしくないじゃないですか」


 「アナタはそれがどんな罪か分かっているのですか!」


 「落ち着いてください、私が過去に来たのは自分の力ではなく、【ある人】に転送されて来たんです」


 「それでもアナタは同罪!タイムパラドックスの矛盾を起こす前に処理せねばなりません」


 「安心してください、そんなものはありませんから」


 「何を根拠に!」


 「考え方はもっと単純なんです、並行世界、タイムパラドックス、矛盾……違いますよ、今言ったじゃないですか、“私達の選んだ道は1つ”だって」


 「そうですよ!だから間違った道を選んだら何が起こるか__」


 「選んだのは私達の意思だと思いますか?」





 「……え?」




 「過去、現在、未来の一本道、選んだのは自分だと思う?これは未来のウジーザスさんの意見です」


 「…………」


 ウジーザスは魔法を解いてもう一度座る。


 「話してください」


 ユキはもう一度コーヒーを飲んで無言で言葉を選んだ後、ひと言……それを口に出す。


 「ウジーザスさんは【神】の存在を信じますか?」


 「…………信じていません……ですがその質問をすると言う事は__」


 「そうです、未来のウジーザスさん……つまり私達は『神』を見ることになる……手を」


 ユキは紋章を光らせて机の上に手を置く。


 「……」


 「この紋章は未来、私の親友ミールと言う人物と《ミカ》と言う魔法研究者によって解析され、改造されました、今なら私が見てきた世界が見えるはずです」


 ウジーザスはユキの紋章に手をかざして__




 「っ____」







 全てを知った。







 


 

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