第461話 熊さん組の《バンガ》
《アバレー王国 3突》
「それで、話とは何だ?」
時刻は夜の8時、ヒロユキ達はアバレー王国で有名な《熊さん組》の本拠地へ出向いていた。
外見は建築ウッドではなく、イメージとしては江戸時代のお城だ。
その1番上の階で高そうなイスに座っている全身見事な筋肉質の狼の獣人がヒロユキ達に問う。
「はい、まずは私たちをここまで入れていただきありがとうございます」
「ふん、普段なら人間なんて入れたくなかったが……まさかコイツが来てたとなれば話は別だ」
そう言って手を魔法で拘束されているジュンパクを指さす。
「どうも〜、久しぶりだね《バンガ》」
「ち……」
「それにしても客人にこの扱いはないんじゃない?」
「だから“客人”には拘束してないだろ?」
「じゃぁミーは何?」
「はっはっは、何だろうな?」
お互いに普通に話している様に見えるが目は笑っていない。
「相変わらず裏の者達には顔が知れ渡ってますね、ジュンパク」
「てへっ、ユキの姉貴に褒められるとうれしいよ♪」
「じゃ、話を戻しますね」
「あ、あるぇ?それだけ?」
もっと何か言ってくるかと思ったのかジュンパクは物足りない様な顔をする。
「ここまでみなさん居て申し訳ないのですが、私とバンガさんだけで話をしたいのですが良いですか?」
「……解った」
ヒロユキがそれだけ言って部屋からすぐに出て行くのにみんな黙ってついていく。
「ふむ、お前の仲間は物分かりが良すぎないか?」
「みんな長い付き合いですからね、ヒロユキさんの素晴らしい一言の重みを分かってるんです」
「アイツがリーダーか……」
「何か問題でも?」
「いや、ふさわしいと思ってな、黙っていて研ぎ澄まされた殺気だった」
「ははは、きっと気づいてたんですよ」
「ほう……?」
「それにみんなも気付いています……だから早く____“隠れている獣人達をこの部屋から出ていかせてください”」
____そう言った瞬間、場の空気が一瞬で変わった。
狼男からの周りの壁や天井から隠れていた獣人がユキを襲おうと武器を構えて襲いかかってきたのだ!
だが
「………」
「やっぱりね〜」
「ミー達が気付かない訳ないでしょ、クソ野郎が♪」
出ていったヒロユキ達も一瞬で察して入ってきて襲いかかってきた獣人達に武器を突きつける。
「言っときますがジュンパクを含め全員猛者ばかりですよ、無駄な争いは避けたいと思いませんか?」
「いいだろう……」
バンガが片手をあげると獣人達は武器をおろした。
「みなさんも今度はちゃんと部屋から出て離れててくださいね?」
ヒロユキ達も状況が変わったのを理解して武器をおろし、先に部屋を出ていった……みんなこうなる事は想定の内だった様だ。
「お前達も行け」
バンガの指示で獣人達も出ていった。
「これでやっと話せますね」
「ふん……」
「私がまず話すのはアナタの“弟”の事についてです」
「なぜそれを!?」
「フフッ……なぜでしょうね」
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