第390話 あの時とは違う
《別ピラミッド内部 アオイ》
「ぐわぁぁあ!入口も無くなってるぅ!?」
俺はずーーーーーーーーーっと真っ直ぐなピラミッドトンネルの道を歩いていたが終わりが見えないので走って入口まで戻ろうとしたのだが......なんと戻ってもずーーーーーーーーーっと真っ直ぐときた!どうしよう!
「僕真っ直ぐしか歩いてないんだけど!?どういうこと!?軽くホラーだよ!」
普通に物理的にあり得なくね?でもよくよく考えたらこの世界は物理的なんて無いんだった......むしろ何て言うんだこれ............魔法理的?よし!命名!《まほりてき》って事で!
「んなこと考えてる場合じゃない!そ、そうだ、こんなときの為に」
俺は自分の裏胸ポケットから通信用の魔皮紙を取り出す......頭の中では猫型ロボットタヌキが道具出すときのBGMを思い浮かべてる。
「本当なら魔王とか見つけたら使うように言ってたけど危険なときも使えっていってたから良いよね!今が危険な時!いざ!」
ちなみにこの魔皮紙は一般では売られて無い物でまだ魔法軍しか普及されていない......どこの世界も最先端技術はまず軍なんだな......って事で!俺の心情は今ワクワクしてます!
「なんだろ、ガラケーからスマホになったときくらいのワクワク感がある......ってあれ?」
あれ?魔力通してるはずなのに............
「反応しない!?なんで!?」
俺は冷や汗をかきながら魔皮紙をヒラヒラと振ったりシワを伸ばしたりしてまた魔力を流すが......反応しねぇ!?なんで!?
「てか!これ反応しなかったら本当に万事休すなんだけどぉ!?」
ももももももちつけ俺!もちみたいな胸付いてるけど!俺は男!じゃなくて!
「ふぅ......よし、状況の整理だ」
1、入口も出口もない真っ直ぐな道に閉じ込められてる。
2、通信用魔皮紙が使えなくて外との連絡は不可能。
3、外でみんな戦っている。
「よ、よし......外にみんないるなら助けに来てくれるはず......」
..................でもなんだろ、恥ずかしいと言うかこの気持ち。
ぶっちゃけ、ここまで来てお荷物になりたくない。
「それにこの状況は山亀の中に居たときの事を思い出す......」
あの時は数日か一週間くらい山亀の甲羅にあった洞窟で過ごしていた......言葉にすると簡単だが生きていくために洞窟の上から落ちてくる雨水を着ている服に染み込ませてしぼってそれを飲んだり、その中にある黒いバラの花びらを食べたり。
ギリギリで生きていて何とか助けてもらった。
「あの時、本当に餓死するかと思ったっけ......むしろあの時と違ってここは水も花もない......あるのは石と砂だけ......」
それに、外の人達がみんな殺されたら......俺はここでどうなる?
たぶん、この状況......俺は罠にかかったのだろう、侵入者をこういう風に閉じこめ餓死させる......
「つまり、これってもしかしなくてもここで人生エンド?」
いやいやいや!負けたことの時なんて考えてどうする!
「男なら負けたときの事は考えないものだぞ!......身体は女だけど!」
そうだ!弱気になるな大切なのはあの時と違って強くなってるんだ俺は!
「あの時と状況は同じでも!僕は違う精一杯やってやる!【武器召喚】」
一本の糸が空中の魔法陣から出てくる。
「この状況を変えたい!どうすればいい?」
普段なら俺が考えてるように糸が動いてくれるのだが今回は全くどうすればいいか解らない。
だけど、俺は今までこの糸を使っていて一つ気になることがあった......今回のヒロユキの件といい、時々出せる【目撃縛】といい......もしかしてだが糸自信に何か自我があるのではないか?と......だからダメ元で声に出して頼んでみる。
「......やっぱり!」
思った通りだ!糸は矢印の形になって俺を導いてる!
「わかった、そっちだね」
俺は今【糸』に話しかけてるのか?それとももしかして......
糸の通りに真っ直ぐ走っていたら糸はいきなり俺の後ろを示した。
「?......後ろ?」
ゆっくりと後ろを向いて次は歩くと糸はどんどん壁の方に向いて行き最後は一箇所を示して矢印のままその壁に入っていった。
「この壁に何かあるのかな?」
恐る恐る手を当ててみる......すると
「お?」
手から魔力を少し吸われた感覚があった。
例えるならちょっとした掃除機の先をとってあのパイプに指を突っ込む感じの吸引力を軽くしたやつ。
「もしかしてここに......」
俺はその他と変わらない壁に手をあてて思いっきり魔力を流した!すると段々周りの空間が歪んでいくのを感じる。
「よし!じゃぁ全力だ!」
今度は身体の魔力の流れを操作して一気に手に集中して流した!
空間の歪みはどんどん酷くなり視認していると酔いそうなので目を閉じてこれでもかと言うくらい魔力を流し続け。
大きなガラスの割れるような音が辺りに響き渡った後、壁がなくなった感触が伝わってきた。
「や、やった......え?」
周りの雰囲気も変わった気がして俺は目を開けると
「こ、これが天秤......でかい」
俺は見上げるほど大きな天秤の部屋の入口に立っていた。
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