第353話 【クロエ】
「たくっ、ルコさんじゃねぇけどよぉ......めんどくせぇなぁ」
荒野をよく見渡せる崖の上で【ある軍団】を一人で待ってる黒と赤のライダースーツに金髪の少女が居た。
【しっかしよぉ、マスター、これが仕事なら仕方ないんじゃね?】
少女の自分の背より高い大きな漆黒の鎌が喋りだす、この声は持ち主である【クロエ】にしか聞こえていない。
「うるせぇ、そんくらいわかってらぁ、殺すぞ」
【相変わらずマスターは口が悪いぜ!】
その鎌を軽々と肩に担いで遠くを見ると何か黒い塊が砂ぼこりをたてながら此方に来ていた。
「おいでなすったみてーだな、数は?」
【視。敵の数は64,520頭、どれも人間冒険者のランクプラチナ~ダイヤモンドってとこだマスター......つまり】
「つまり、ザコ共が魔神の命令で群れになってるだけか......よーし!今回は簡単な仕事だ、助かったぜ」
ニヤニヤとして小さな身体の態勢を低くして鎌を構えるクロエ。
「んじゃ、とっとと行くか」
その言葉を言い終わった瞬間その場からクロエは消えた、否、ものすごい早さで飛び出したのだそのスピードは音速......そして
「【デスヒール】」
クロエがおびただしい数の魔物の軍団の前で止まり魔法を唱えるとクロエを中心に魔法陣が半径44メートルに展開され。
「ほらぁ!【回復魔法】だ!ありがたくおもいやがれ!」
「ーーーーー!!」
クロエが【回復魔法】を使うと魔法陣の上にいた魔物達に次々と傷が出来ていく。
【グァヘヘハハ!良く言うぜ!デスヒールの中で回復された対象はその逆、古傷があればそれが開いてさらにその傷がどんどん広がるマスターと俺だけの専用魔法の一つじゃん!回復なんかできるわけねぇゲラゲラゲラ】
「はぁ?ご丁寧に解説してんじゃねーよ!」
【どうせ俺の声はマスターと神にしか聞こえねぇからいいんだよゲラゲラ】
「ガァァア!」
傷だらけの体調8メートル程の【レッドドラゴン】がクロエに噛みつこうとするが
「うるせぇなぁ!殺すぞごらぁ!」
【レッドドラゴン】の首はクロエの持ってた鎌に綺麗に刈り取られた。
刈り取られた事に数秒間身体が気付いてなかったのか動いていたがそのままスイッチが切れたように倒れた。
「キシャァァア!」
「ガルルルル」
その光景を見て魔物軍団は完璧に【クロエ】を敵として捉えた。
普段はこんなにも多種類の魔物が統率を取ることはあり得ない、まるで誰かが指示をしてるかのようだ。
「あーあー、なんだなんだ?みんなで合唱コーラスか?............うるせぇってさっきから言ってんだろ」
クロエは一瞬で魔物軍団を真っ直ぐと駆け抜け魔物達が気付いたときには軍団の後ろでクロエは背を向けて呟いていた......
「今のでざっと5000体くらいか」
クロエはそう呟いて漆黒の鎌を降って、いつの間にか付着していた血を地面に叩きつける、すると
「ガ......」
クロエの通った一直線上に居た魔物達は全て首が刈り取られ地面に重い音をたてて落ち、何全体という魔物の身体からは血が吹き出し周りに血の雨を作り出しながら崩れ落ちていった。
そして魔物の血の雨を小さな身体に浴びながらクロエは心の底から笑みを浮かべ
「ククク......げーはーはーはははははは!!気持ちいぃねぇ!この感覚!あー!気持ちいい!」
心からでた独特な悪の高笑いをあげて振り向いて動きだし、【デスヒール】によって開かれた傷口に鎌を挿し込み身をくねらせ次々に魔物を刈っていく。
【いいじゃんマスター!のってきたねぇ!!】
「ゲハハハハハハ!殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す......殺す!」
【殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す】
その美しく綺麗に魔物を殺していく光景はまるで苦しまずに殺してくれる【死神】。
「殺し尽くしてやるよ!】
魔物軍団に会って30分......気が付くと血の泉と死骸の山を作って最後に立っていたのは返り血で真っ赤になった【クロエ】だけだった。
「......チッ」
【今回も良かったぜマスター!あんたクールでロックだよ!じゃぁな!】
クロエの【武器召喚】が切れて鎌が消える。
再び崖の上に移動して血生臭い静かな荒野を見下ろし呟く。
「俺達が魔王共が操る魔物から人間を護ってやるからよぉ......さっさと【勇者】は【魔王】全員しばいてこいや」
そういって次の仕事に行くために世界地図を出して場所を指定し転移魔法で消えていった。
そして何事も無かったかのように荒野には静かな時が流れるのだった......
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