第349話 いざ、洞窟へ!
「大丈夫ッチュ?」
「な、なんとか......」
俺は必死に吐き気を抑える......今回も壮大に吐いてしまったな......
「トラララ、こっちの残り二匹も片付いたぞ」
トラ五郎とウシ沢さんもこっちに来てくれた、とりあえず魔物......アバレーではアヤカシというみたいだが、食べるぶんだけ捌いてテントに送った後、残りはギルドに送ってくれたのだろう。
吐きおわって気分が戻ってきて後ろを見るともう死骸が無かった。
「しかし、本当に苦手ッチュね?仮面で見えないチュけど見えてる部分は真っ白ッチュ」
今は仮面を食べるときの形体にして口元が相手から見えている。
最初こそ、間に合わなくて仮面の中がゲロまみれになることが多かったが今は慣れて吐く前に切り換えれる......こんなのに慣れるくらいならあのグロい光景を慣れろって?無理だ!
「大丈夫、もう平気......それにみんな助けてくれてありがとう」
それぞれ三人が心配そうに俺を見る。
「......やっぱり沼大蛇のとこには......」
「い、いやいけるよ!」
チュー太郎さんが予定の変更を申し出そうになった。
いやいや!こんなので予定変更になったら申し訳なさすぎるしせっかく今まで頑張ってみんなから誘われるようになった成果をダメにしたくない!
俺の付いていった依頼は百パーセント成功するレッテルを守り続けないとまたお金が稼げなくなって食っていけなくなる......
「そ、そうチュ?本当に大丈夫かッチュ?」
「うん!」
「トラララ!いいじゃないか!本人が言ってるんだ!」
おお!トラ五郎さん!
「期待してるトラ」
そういってトラ五郎さんはこれ以上話すこともないだろうと歩いていく。
「まったく......あいつは何も考えないッチュね」
「ウッシ!そうと決まれば行くウッシ」
二人ともそのまま歩いていく。
「............」
人間嫌いな獣人が多いって聞くけど、こうして見ると獣人も普通の人達なんだよなぁ......
俺は仮面を戻してみんなについていった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ついたっチュ」
歩くこと数時間、休みなしで歩いていたが不思議とこの『獣人化』してる状態は身体のあらゆる所が強くなってるのでそんなに苦ではなかった......師匠のおかげです!それにしても
「ここが入り口?」
目の前の洞窟の入り口は広く、深く......
奥の方は暗くて何も見えなくて冷気が漂っていた。
「そうッチュ、この季節になるとここ《蛇ドラ洞窟》には【沼大蛇】がどこからともなく現れるッチュ、奴らは夜行性で夜になると外のアヤカシを食べるッチュ、だから今は寝てるッチュ」
「トラララ、さらにこの中の湿度や気温は《モロシイタケ》にとって完璧トラ、だからこそ、【忍者】であるアオイの出番トラ」
「なるほど、確かに条件は整ってるわけですね」
しかし時刻はもう14時を過ぎてる、モタモタしてると夜行性である沼大蛇とやらが活動してしまうのだろう。
「ちなみに明日の朝まで待つのはだめなんですか?」
「ここら辺は沼大蛇の縄張りッチュ、もしも待つならまた拠点まで戻るはめになるッチュ」
「なるほど、そこまで僕を信用してくれてるんですね」
「噂が噂になるのは実績があるからッチュ、特に冒険者は見極めて噂を流すはずッチュ、でないと誰の特にもならないッチュからね、信用じゃなくてチューは実績と思ってるッチュ」
「フフッ」
嬉しいことを言ってくれる。
「じゃぁ、気合いを入れるッチュ、行くッチュよ!」
そのまま俺達は大きな口を開いた暗い洞窟に足を踏み入れた。
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