第329話 【神の使徒】これで全員揃った。

 「【目撃封】」


 その魔法を受けた巨大都市スコーピオルでは、異変が起こっていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「魔王様!応答してください魔王様!」


 「至急【糸』が解けたものは『女神』を探せ!まだ魔王様と交戦しているかもしれん!」


 アオイの糸はアオイが去ったあとゆっくりと強度を無くしていって解けていき、解放された吸血鬼兵や魔物達は魔王がいなくなり統率力がなくなってバラバラになって崩壊していた。


 そして......


 「お、おい!お前!その腕!」

  

 「え......な、なんだこれ!う、うわぁぁ!」


 ある吸血鬼の手が凍りだし、それはどんどん身体の方に広がり。


 「た、たすけ」


 大きな氷の塊となった。


 それを皮切りに他の吸血鬼達、魔物、生物が全て凍っていき。


 巨大都市スコーピオルに居る【熱を持つ生命体】は全て、余すこと無く凍ってしまった。



 さらに、その氷は広がり続けビルも凍りはじめその氷は形を作っていき......


 都市は山よりも大きな【氷の花】の形になり封印された。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「あ、あ......」


 自分の作り上げた都市がものの数分で氷の花になったのを見てアビは驚愕した。


 吸血鬼の人口は人間の三倍は居る、そしてそれに比例するように都市は大きく、人間の国全てを合わせても足りないくらいなのだ......それが......


 「封......印......だと」


 「驚いたかな?魔王様、そ、これは封印......君が僕達の仲間にならなければあの都市が封印から解かれることはない」


 「くっ......」


 アビに拒否権は無かった、ここで断れば封印されたまま。

 立ち向かって行っても目の前であんなものをやってのけたキールを相手をすることになる。


 「よろしく、あびたん」


 「なんだその名前は......」


 「そっちの方が呼びやすいでしょ?」


 「ふん......知るか」


 ルコサはアビを強引ではあるが仲間にすることに成功したのを確信しキールに振り向く。


 「見事な魔法だね」


 ルコサは褒めるがキールは不満そうな顔をしてその不満を声に出す。


 



「これでも......本当の【勇者】よりも弱いのか......」






「あぁ、君は子孫であって【勇者】じゃない、そのために僕達が居るんだ」





 ルコサは【世界地図】を開き、行き場所を指定するとどこからともなく転移魔法陣が発生する。

 


 「さて、【神の使徒】はこれで全員揃った......今頃クロのとこにもオリバのとこにも魔法陣が出てるよ、新しい仲間の挨拶もあるし、ちょっくら全員揃って会議をしようか......」



 そして巨大な氷の花を残し。

 

 アビ ルダ キール そしてルコサは転移して消えていった。




 


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る