第319話 【やっと、進化できた♪』
「(ど、どうして!)」
どうして俺を庇った!?
すひまるちゃんから俺の姿は見えているはず。
そして......パァン!という音とともに
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!!!!」
すひまるちゃんの叫び声が此方まで聞こえてきた。
「(!?)」
ペチャッと押し入れに何か入ってきたのを見る......周りが暗いがハッキリとわかった......それはセミマルの眼球。
「(ウッ......)」
俺は吐き気を必死に抑える。
「セミマル!セミマル!ど、どうして!どうしてこんな事を!うわぁぁぁぁあ!」
「(!!!)」
すひまるちゃんが怒りをあらわにして【魔王】に飛びかかろうとしたとき、またあの感覚が俺を襲う。
静寂。
周りの時間がピッタリと止まった感覚。
そしてビリビリと殺気が俺に伝わってくる。
「(出ないと!)」
この感覚の正体は解らない......でも確実に今俺が出なければすひまるちゃんは殺される!
すひまるちゃんは人間を襲っていた吸血鬼だ、つまり人間の敵......でも!
「(目の前で知ってる人が殺されるのを見殺しになんか出来ない!)」
この一年、俺は幸せな異世界生活をしていた。
奴隷でもない勇者でもない普通の人間としての普通の生活。
そしてこの一年、学校に行くと必ずクラスメイトが居た。
みんなで考えてみんなで授業を受けてみんなで笑って。
それが嘘だったとしても、俺は楽しかったんだ!
自己中心的な考えだと思ってもいい!俺は幸せだった!
夢にまで見た普通の異世界での生活を送っていた!
そして今、クラスメイトが殺されそうになってる!
守る!俺は守るんだ!
もう俺は目の前で大切なものを傷つけられるのを見たくない!
あの時も、あの時もあの時もあの時も!俺はいつも事後......
見たくない!血も!傷も!
もうたくさんだ!
奴の目的は『女神』である俺!
俺が出れば!
『ダメよ♪』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「............え?」
お、俺はさっきまで押し入れに......え?あ、......
「あぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?」
どう言うことどう言うことどう言うことどう言うことどう言うことどう言うことどう言うこと!!!
どうして!どうしてすひまるちゃんが!
「すひまるさんすひまるさん!」
必死に呼び掛けるがすひまるちゃんからの声はない。
「なんで......なんでなんだよ......」
訳が解らない......
でも一つ、ハッキリしてるのは
「また......また俺は何も出来なかった......くそおおおおおぉあぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
俺はまた【絶望』した。
【同期完了』
【キャハッ♪これで【勇者の力】もやっと使える♪さぁ、解放しなさい私が食べていたその......』
【感情を♪』
怒り。
俺の心の奥底から沸き上がるこの【感情』
忘れていた、いや......【何か』に制限されていたかのような感情。
それが爆発した。
「許さない......許せない......」
俺はゆっくりとその【魔法】を唱える。
「【武器召喚アンリミテッド】」
【それは、神からの贈り物......勇者が使う究極の魔法】
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