第304話 行かなきゃ悲しむ

 {今年の《モルノスクール》美少女コンテスト!優勝はアドベンチャー科一年!アオイさんです!}


 「「「「おおおおおお!」」」」


 {では優勝したアオイさんは前へ!}


 俺はウェディングドレスの姿で体育館の階段を上がっていく。

 体育館は暗くなっていてスポットライトが俺に当たって眩しい......



 {ではアオイさん!みなさんに一言どうぞ!}


 アリスト科の人から言われ、体育館から溢れるほど集まってる男達の前で俺は一言。

 ちなみに、マイクなどは不要で魔法で俺の声がみんなに聞こえるようになってる。


 {あ、あー......}


 マイクではないがマイクテストすると体育館に俺の声が響き渡る。


 






 {う、嬉しいです......みんなありがとう}






 体育館の男性全員から歓声があがり拍手を受ける。






 どうしてこうなってしまったのか............
















 遡ること一時間前。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 「美少女コンテストに?なんで僕が?」


 「は、はい......だめですか?」


 俺は教室で《リアルこんがり肉作っちゃおう計画》を実行していた。

 これがワイルドでお客さん受けも良くそこそこ来ている。


 そんな中、珍しくすひまるさんに声をかけられたのだ......

 でもそれが


 「あ、はは......冗談が上手いなぁ」


 よりにもよって《美少女コンテスト》出てみないかと!

 知ってる?俺男だよ?

 何で男の俺が美少女コンテストなんかにでなきゃいけないんだよ!


 「じょ、冗談じゃありません!」


 「へ?」


 すひまるさんは俺の手を握って真っ直ぐな目で見てくる。

 

 「あ、はは、でもほら、僕店番があるし」


 「む?店ならいいのじゃ、人はたりてるのじゃ」


 くそ!ルカめ!空気を読め!

 いや!たぶん空気を読んでその発言をしたんだろうけど!俺はそんなコンテスト行きたくねぇ!


 「だ、だめですか?」


 う......すひまるさんはションボリしだしてる。

 このままではここまでやっと友好関係築いて来たのが一気になくなってしまう!


 「わ、わかったよ、たぶん予選で落ちちゃうかもだけど(落ちるつもり)出てみるよ」


 「ほ、ほんとですか!ありがとうございます!私からアリスト科の方に連絡しておきます」


 うぅ......すひまるさんの笑顔が痛い......

 そして俺が美少女コンテストに出るなんて頭痛が痛い......


 「ル、ルカさんはどうですか?」


 すひまるさんはルカにも声をかける。

 うんうん、ルカ、お前も一緒に


 「ワシは興味ないからいいのじゃ」


 こいつ!すひまるさんの誘いをきっぱり断りやがった!


 「それにこの場所は誰にも譲らないのじゃ!」


 お前!その場所ってみんなが準備したらボタン押すだけの仕事だろ!


 「そ、そうですか......それは仕方ないですね」


 えぇ!?すひまるさんもあっさり!?


 「で、では、アオイさん、いまからいってください」


 「へ?今から?」


 「はい、あちらでは準備があると思うので、連絡とお店は私達に任せてください」


 「わ、わかったよ、じゃぁ行ってきます」


 「はい!」


 

 


 俺はもう内心めちゃくちゃ行きたくない気持ちで重たい足を無理矢理動かして体育館に一人でトボトボと足を運んだ......








 「美少女コンテストは出ないよ!............ってハッキリ言えたらなぁ......」






 美少女コンテストとか行きたくねぇ!

 俺は男なんだぁぁぁぁあああ!!!


 

 

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