第303話 上手に焼けましたー!

 ユキはもといたトイレの中で我に返った。


 「......あれ?」


 「ユキちゃんーまだー?」


 外からはユキを呼ぶドーロの声が聞こえる。


 「はいですー今でるですー!」


 ユキはイヤホンを外して魔皮紙に戻し、ポケットにいれようとすると......


 「あれ?こんなの入ってましたです?......宝の地図です?」


 その中には【たからのちず】と書かれた魔皮紙があったが開いても何もかいていない。


 「いつの間に......」


 「もういっちゃうわよー」


 「あ!待ってですー!」


 ユキはそのまま、ドーロと一緒に歩いていき、他の子供達と合流するのであった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「音楽に合わせてちょうどいいときにあげるでござるよ!」


 「うん!」


 アドベンチャー科一年の教室はそこそこ賑わっていた。

 壁にはそれぞれ持っている武器と装備をはりつけられていて、教室の四ヶ所には大人の腕くらいある骨付き肉がアオイ特性の《肉焼き機》にセットされていた。


 その肉焼き機の前に子供達は並んで順番に立ち。



 《てんてれーててて、てんてれーててて、ててて、ててて、ててて、ててて、たたたたタン!》


 

 これもアオイ特性の音楽で某ハンターゲームをしていたアオイはそれを現実のアイデアに持ってきたのだ。


 ちなみにこの《肉焼き機》はアドベンチャー科全員でルコサに頼んでつくってもらった物だ。


 「えいっ!」


 ミイはここだ!というタイミングであげると。


 「上手にやけましたでござる!」


 パチパチと拍手をされその焼けたお肉をもらう。


 「やったー!」


 「次の人どうぞでござるよー」


 順番に子供達がお肉をやいて食べている中、ユキとドーロが教室に到着した。


 「あ、ユキちゃん!」


 「ミイちゃん!なんですか!そのお肉は!です!」


 「これね!ここのお兄ちゃんとお姉ちゃん達がくれるの!ユキちゃんも行ってきなよー」


 「はいですー!」


 トコトコとユキは最後尾に並んでいった。

 ドーロもウマヅラを見つけて近くに行く。


 「ドーロ、えらく時間がかかったな?」


 「うんー、ユキちゃんお腹壊してるみたいー」


 「大丈夫か?」


 「本人は大丈夫っていってるからねー、でも帰ったら子供達に手洗いとうがいを......」


 二人がそんな話をしている中、ユキの番がやってきた。



 「はい、どうぞ。あら、可愛いわね」


 「わー!すごいお肉です!」

 

 ユキの担当するのは《ストロングウーマン》の女リーダーだ。

 女リーダーはユキにまだ焼けてないお肉を渡す。


 「そこのお肉の骨の部分をここに置いて?」


 「はいです!」


 カチャッとユキは肉焼き機に肉を置くと、女リーダーは前にスタンバイしてるルカに準備オッケーのサインを出す。


 「ポチッとなのじゃ」


 ルカがスイッチを押すと音楽が聞こえてくる。


 「この音楽がなってる間は肉を回しなさい?」


 「はいです!」


 《てんてれーててて、てんてれーててて、ててて、ててて、ててて、ててて、たたたたタン!》


 「今よ!」


 「ほいです!」


 「ふふ、ウルトラ上手に焼けましたーってやつね」


 ユキのお肉は焼き加減抜群で肉汁もしたたり、フワフワとしてるのがわかる。

 

 「やったです!お姉さんありがとうです!」


 「どういたしたまして」


 「ふへへ......」


 ニコッと女リーダーはユキを撫でてユキは嬉しそうにした後「ありがとうですー!」と言って肉を持ってミイの所へ行った。


 「..................次の子、どうぞー」







 【何も変わらないストーリー。】


 【だが、知ってはならない事を知ることで人間は見方を変えてしまう】

  


 

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